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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科25巻1号

1971年01月発行

雑誌目次

図譜・330

Dermatofibrosarcoma Protuberansの1例

著者: 菅原宏

ページ範囲:P.8 - P.9

症例 33歳,男,電工夫 初診 昭和45年5月25日
主訴 左前胸部の板状の腫瘤 既往歴 特記すべき事項なし。

原著

脂腺上皮腫

著者: 石川謹也

ページ範囲:P.15 - P.20

 今日皮膚腫瘍はきわめて多数に分類されているが,個々の腫瘍はかなり明確に定義されてその病型を比較的容易に理解することができるものが多い。しかしその中でも脂腺上皮腫(sebaceousepithelioma)はなおかなり概念のあいまいさが残されている。これはもちろん本腫瘍の稀有なることにもよると思われる。著者は自験例を報告し本腫瘍の概念について論じてみたい。

食道狭窄を伴うEpidermolysis bullosa hereditaria dystrophica polydysplasticaの1例

著者: 本間真

ページ範囲:P.23 - P.29

 Epidermolysis bullosa hereditariaは基底細胞あるいは表皮・真皮境界部の構造欠陥にもとずき,外傷時には自然に発生する水疱形成を主徴とする遺伝的疾患である。
 近年Cockayne (1933)1)およびTouraine (1942)2)の分類以来,臨床形態および遺伝的見地から1) Epidermolysis bullosa hereditaria simplex2) Epidermolysis bullosa hereditaria dystro-phica hyperplastica (dominante Form)3) Epi-dermolysis bullosa hereditaria dystrophicapolydysplastica (recessive Form)の3型に分けられ,さらに最近Pearson3),Schnyderら4)の組織学的,電顕的検索により発生病理学的見地からもこれらの分類の再確認がなされてきている。

深在性皮膚カンジダ症—カンジダ性膿瘍の1例

著者: 東禹彦 ,   池上隆彦 ,   山本哲雄

ページ範囲:P.31 - P.35

 近年抗生物質や副腎皮質ホルモン剤が普及するようになつてから,内科領域では内臓カンジダ症が増加し,皮膚科領域では皮膚カンジダ症の病型に変化が生じていることが指摘されるようになつた1)。しかし,深在性皮膚カンジダ症はやはりまれな疾患で,日本語文献での報告は10例に満たないのである。著者らは深在性皮膚カンジダ症とみなしうる単発性のカンジダ性膿瘍の1例を経験したので,症例を報告するとともに,本症の発生機序について若干の卑見を述べる。

ASLO高値を示したScleredemaの1例—本邦例の集計とともに

著者: 池上隆彦 ,   斎藤忠夫 ,   須貝哲郎

ページ範囲:P.37 - P.42

 Scleredema adultorumは1900年にBuschke,Blaschkoらにより,独立疾患として確立されたが1),Greenbergら2)の209例の集計で,この疾患の約半数が小児ないし青少年にみられることから明らかなように,小児科領域からの報告もあり2,3),近時,たんにScleredemaとする報告もみられる4)。今回著者は後者に従つた。Scleredemaの病因としては,谷奥5)は潜在せる感染性疾患,局所性炎症などが肝臓あるいは自律神経の一時性障害を招き,ついで本症が惹起されるとしている。事実,この疾患は多くの場合,感染症,とくに上気道疾患に続発している。著者は,扁桃腺腫脹を伴う感冒様症状に続発し,2年間にわたり,病勢とASLO値とがよく平行関係を示したScleredemaの1例を経験したので報告するとともに,この機会に,本邦例について集計を行なつたので,併わせて報告する。

悪性黒色腫の1例—螢光法(Falck & Hillarp)による観察所見を中心として

著者: 森嶋隆文 ,   石川幸重 ,   遠藤幹夫

ページ範囲:P.51 - P.57

 1962年,FalckおよびHillarpら1,2)は組織を凍結乾燥し,これをformaldehyde gasにて処理することにより,全ての組織におけるCatecholamines(CAと略記)および5-Hydroxytryptamine(Serotonin)(5-HTと略記)の局在を細胞ないし細胞下レベルで形態学的に追求可能とした。さらに,Corrodi & Jonsson3)によつて,その化学反応が明らかにされ,またThieme4)は螢光顕微分光法により,該螢光がauthentic NAと完全に一致することを証明するに至り,本法の特異性に関する信頼度が一躍増大した。
 かかる螢光法を用いての皮膚モノアミン作動神経の研究はFalckら5),Moller6)および森嶋7)により,またメラノサイト,母斑細胞ならびに悪性黒色腫細胞の観察はFalckら8,9),橋本ら10,11)および森嶋,遠藤21)によりなされている。

Angiokeratoma circumscriptum naeviformeの4例

著者: 辻卓夫 ,   桜根弘忠 ,   山本哲雄

ページ範囲:P.59 - P.66

 1915年Fabry1)がそれまでAngiokeratomaとして片付けられていた疾患の内,母斑性でしかも躯幹または四肢の片側に存在するものに対してAngiokeratoma circumscriptum naeviformeなる名称のもとに1独立疾患として報告した。その後本症に一致すると思われる疾患に対して,keratotic hernangiorna2),hemangioma verrucosum3),naevus angiokeratoticus10),その他種々の名で発表されてきた。
 本症の報告数は外国で40例内外4),本邦で17例内外6〜18)(表参照)に過ぎず,非常にまれな疾患と思われるが,それは単なる血管腫として見のがされている可能性もある。

Cafe au lait spotsを伴つたnevoxanthoendotheliomaの1例

著者: 最上晋

ページ範囲:P.67 - P.70

 cafe au lait spotsを伴つたnevoxanthoendotheliomaはすでに野波1)らにより集計報告されている。私は最近,祖母に定形的Recklinghausen病と黄色腫が認められ,孫に同様のspotsを伴つたnevoxanthoendotheliomaの症例を経験したので報告する。

図譜・331

著明な角質増殖を示した

著者: 金子史男 ,   平山晃也 ,   三浦祐晶

ページ範囲:P.48 - P.49

患者 41歳,男,あんま師 初診 昭和43年6月21日
家族歴 特記すべきことなし。

外国文献

外国文献—専門誌から

ページ範囲:P.74 - P.75

ACTA DERMATO-VENEREOLOGICA50: 4, 1970
The Ultrastructure of the Skin of Human Embryos. VII. Formation of the Apocrine Gland: K. Hashimoto 241
Epidermal Multinucleated Giant Cell in Parapsoriasis Guttata and Eczematous Dermatitis: S. Ofuji and T. Horio 252

〈原著論文抄録〉

脂腺上皮腫,他

著者: 石川謹也

ページ範囲:P.81 - P.81

 83歳男の頭頂部に発生をみた脂腺上皮腫の1例を報告した。
 組織学的に腫瘍細胞巣は表皮と各所で連結性に真皮内に向つて増殖し,一見基底細胞上皮腫様の発育を呈している。腫瘍細胞巣には脂腺細胞が個々にあるいは集簇性に多数認められ,また大小の嚢腫様空隙が多数みられる。脂腺細胞および嚢腫内容はSudan Ⅲ強陽性。

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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