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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科25巻10号

1971年10月発行

文献概要

原著

Sézary症候群の1例

著者: 田代正昭1 桑原淑子1

所属機関: 1鹿児島大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.973 - P.980

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 1938年Sézary & Bouvrain1)は"Erythrodermie avec présence de cellules monstrueses dans le derme et le sang circulant"と題し,58歳,女性で,全身の瘙痒,紅皮症様皮膚症状とともに表在性リンパ節,肝,脾の腫脹を伴い,その末梢血に白血球数増多と異型大型単核細胞の出現を認め,さらに真皮に円形ないし多角形細胞の浸潤を示す1例を報告し,さらに同様の症例2例2,3)を追加してその独立性を主張した。
 その後かかる病変を有する疾患に対して,Sézary's reticulosis,Sézary's syndrome,malignant reticulemic erythroderma,malignantleukemic reticuloendotheliosis,erythrodermische Hautreticuloseなどの種々の名称で報告され,現在まで欧米ではすでに約30数例に及ぶが,本邦では1965年建石ら4),斎藤ら5)の報告を初めとして,笹岡ら6)(1968),正木ら7)(1969),鈴木ら8)(1970),重松ら9)(1970),紫芝ら10)(1970),川岸ら11)(1970),佐藤ら12)(1971)の報告をみるに過ぎない。すなわち本邦例は現在まで9例で,自験例をあわせて10例に達した。Sézaryらは本症候群を菌状息肉症の近縁疾患と考えながらも,特長的な主要症状よりその独立性を主張し,それを支持するものも多いが,一方,細網細胞性リンパ腫,菌状息肉症,Hodgkin氏病,lipolnelanicreticulosis,リンパ性白血病,単球白血病などの一亜型あるいは前駆症と考えるものもありまだ定説はない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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