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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科25巻12号

1971年12月発行

雑誌目次

図譜・346

毛孔性紅色粃糠疹(全身型)

著者: 石井敏直

ページ範囲:P.1140 - P.1141

患者 39歳,女教諭
初診 昭和45年5月4日

原著

AMYLOIDOSIS CUTIS NODULARIS ATROPHICANS(GOTTRON)

著者: 中村絹代

ページ範囲:P.1147 - P.1155

 原発性限局性皮膚アミロイド症とは,一般に真皮乳頭部にアミロイド変性の認められるLichenamyloidosus(La),またはそのmacular variant1)が主たる臨床形態であり,はなはだまれには結節状形態,ないし腫瘍状形態2,3)を呈する型のあることはあまり知られておらず,かつ報告も少ない。
 1950年Gottron4)が初めてAmyloidosis cutis nodularis atrophicans diabeticaと標題して,彼の第1例5)およびKenedy6)の症例を考察した結果,皮膚アミロイド症として新らしいclinical entityを持つ疾患と考えた。臨床的にはおもに下肢に多数発生せる無自覚性の結節であるが,その表面皮膚が萎縮性であり,色調は赤褐色調,やや透明感があり,組織学的に真皮内より皮下組織にかけてアミロイド塊を証明しうることがおもなる特徴である。

頭蓋骨にいわゆるpunched-out lesionが認められたLetterer-Siwe病剖検例

著者: 三浦隆 ,   斉藤信也

ページ範囲:P.1157 - P.1161

 今回われわれは,頭蓋骨に円形の骨欠損,いわゆるpunched-out lesionが認められたLetterer-Siwe病症例を経験し,剖検により該骨病変を組織学的に検索することができた。
 以下この症例の概略を報告し,併せて本症における骨変化に関し考察したい。

紅斑を主像とした眼瞼部表在性基底細胞腫の1例

著者: 上野賢一 ,   加藤礼三 ,   鍋島謙五

ページ範囲:P.1163 - P.1167

 基底細胞腫が臨床的に種々の形態を示すことは周知のところであるが,われわれは最近10年にわたつて続いた紅斑局面を主像とした本症を経験したので,これについて簡単に報告したい。

Eccrine Poromaの1例

著者: 石川謹也

ページ範囲:P.1169 - P.1173

 1956年,Pinkusら1)によつて記載されたecc-rine poromaは欧米においてはすでに多数の症例が報告され,最近ではHymanら2)の101例の統計的観察がある!本症の病型に関しても三島・森岡3)はeccrine poroacanthoma, eccrine po-roepithelioma, eccrine porocarcinomaの3型に分類した。またGoldner4)によつてeccrineporomatosisなる病名の下に臨床的に多発した1例も報告されている。さらにHolubarら5)は酵素組織化学的反応の結果よりintraepidermaleccrine poromaなる概念を導入している。
 一方,本邦においても坂本ら6)により初めて観察され,以来報告が相続き今日までに14例の症例6)−13)があり,現在ではさほど稀有のものではなくなつてきている。著者13)もすでに1例を報告したが,今回さらに1例を経験する機会をえたゆえ,まだ本邦では施行されていない酵素組織化学的および電顕的検索を行なつてみた。

Thimerosal接触皮膚炎の臨床的検討

著者: 滝野長平

ページ範囲:P.1175 - P.1180

 Thimerosal (Merthiolate)は1931年Waldo1)により開発されて以来,その殺菌・防腐能力の優れていることから種々の方面に広く用いられており,日常診療においてもその殺菌消毒効果を期待して,積極的に創傷ならびに術前の皮膚消毒などの他,ワクチン類,抗原エキス,点眼・点鼻薬,あるいは皮膚外用薬の一部に混じられたものを無意識の中に使用することも多い。このようにかなり繁用されているものと推測されるにもかかわらず,従来副作用に接することはあまり多くなかつたように思われるが,ここ数年本剤による接触皮膚炎に遭遇する機会が多くなつた。
 今回これら症例のうち23例について臨床的見地から若干の検討を行なつたので,その成績を報告する。

結節性黄色腫(Familial Type Ⅱ)

著者: 藤田優 ,   麻生和雄

ページ範囲:P.1181 - P.1187

 黄色腫とコレステロールの関係は,すでに1878年にQuinquandが3例の患者血液中にCholesterinの増加を確認しているが,病因としてコレステロールをとりあげたのは,これより約30年遅れたPinkus and Pickの報告である1)。その後Thannhauser,Lever2)の黄色腫ないしその周辺の疾患を高脂血症の立場から整理した分類は著名である。さらに近年,高脂血症は,コレステロール,トリグリセライドなど脂質そのものより,その転送に働くリポ蛋白の側から検討されるようになり,1967年Fredrickson3)は高脂血症をⅠ型からⅤ型の5つの型に分類した。著者らは結節性黄色腫のリポ蛋白分析によりFamilial Type Ⅱと診断した症例を紹介し,その概要ならびに成因について述べてみたい。

造影剤皮内試験後に生じる皮膚炎について

著者: 渡辺進 ,   渡辺悟

ページ範囲:P.1189 - P.1194

 子宮卵管造影剤にはLipiodol-UF,あるいはPopiodolなどの製剤があるが,いずれもヨード剤であるためヨード過敏症の有無を検査して使用する場合がある。われわれは最近,婦人科において不妊症,子宮筋腫等の診断のための子宮卵管造影に先だちヨード過敏症の有無を知るために皮内反応を行ない,10〜34日して注射部位に発赤,腫脹,水疱形成をきたし,かゆみ,痛みを訴えて当科を受診した例を16例経験した。われわれは造影剤のいかなる成分がかかるSpontaneous flareup現象を起こしてくるのかに興味を持ち検討したので,その詳細をここに報告する次第である。

皮膚科学の流れ 人と業績・19

Louis Duhring

著者: 高橋吉定

ページ範囲:P.1200 - P.1203

 Hebraの業績は,土肥先生の言葉を借りると,"永く天下後世の準縄となり,由つて以て現代皮膚科学の新紀元を劃した"。ヘブラと同時代の皮膚科学者は,わずかな数を除いては,それまでの伝統に固く縛られて,独創的な研究はほとんど行なえなかつた。しかしヘブラの次の世代は彼の高邁な識見と絶倫な精力の影響を受けて,皮膚科学界は様相を一変したのである。その時期は19世紀の後半に当たる。土肥先生のヘラブ以後の皮膚科学界に対する寸評はこうである1)
 "是より以後(注:ヘブラ以後のこと)我皮膚科学は他の医学諸科と鑣を並べて日進月歩し,名家雲の如く勃興せり。"

Summaries in Arch. Derm.

Summaries in ARCHIVES OF DERMATOLOGY

ページ範囲:P.1204 - P.1207

 The original source of publication: Reprinted from the ARCHIVES OF DERMATOLOGY, Vol. 104, Number 1; pages 1, 4, 14, 21, 26, 38, 45, 57, 61, 68, 70, 73, 77, 80, 87, 90, and 92 July 1971 Copyright 1971, AMA.

外国文献

外国文献(専門誌から)

ページ範囲:P.1208 - P.1209

DERMATOLOGICA141: 1, 1970
Eczema vaccinatum. Report of Four Cases by Contact-Infection Treatment with Methiasazone (Marboran): J.C.M. Grosfeld and A.G.S. uan Ramshorst 1
Sensitization to Phenylacetaldehyde: S. Fregert 11

〈原著論文抄録〉

Amyloidosis cutis nodularis atrophicans(Gottron),他

著者: 中村絹代

ページ範囲:P.1211 - P.1211

 36歳,女子,右下肢に見られた本邦初例と思われるAmyloidosiscuntis nodularis atrophicansを報告した。
 ドイツ,米国の文献より本症と思われる12例と自験例を考察し,中年ないし老年の女性,特に下肢に多発する皮下結節であり,表面皮膚はcigaretete paper様萎縮を呈し,黄褐色ないし赤褐色で,大きなものはヘルニヤ様陥凹を示す特徴を有すること,Nomland testおよび組織学的診断が確診のために必要であることを述べた。

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臨床皮膚科 第25巻 総索引

ページ範囲:P. - P.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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