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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科25巻13号

1971年12月発行

文献概要

特集 小児の皮膚疾患

乳児湿疹と乳児期栄養

著者: 松村龍雄1 川辺志津子1 小栗政夫1 黒梅恭芳1 多嶋幹太郎1

所属機関: 1群馬大学医学部小児科

ページ範囲:P.1287 - P.1307

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はじめに
 筆者らは小児科医であつて皮膚疾患については門外漢である。ただ,アレルギー,殊に食物アレルギーの立場から小児疾患を眺めているうちに,皮膚の発疹をも避けて通るわけにはいかなくなつてきている。それで,乳児湿疹についても,いささか関心がないではない。依頼に応じて稿をものして,専門家の御批判を仰ぐ次第である。
 主題にも並べてあるように,現在,乳児湿疹と乳児期の栄養が無関係であると考えている人はいない。しかし,その関係がどの程度であり,その関係がどのようであるかとなると,議論は大いに分かれてくると思われる。筆者らは湿疹のうち,乳児の湿疹は特に栄養即ち食物と関係が深いと思う。そして,乳児湿疹を乳児栄養のうちの人工栄養との関係,即ち牛乳の粉乳や,大豆の粉乳との関係において観察をし始めて,間もなく,問題が後天感作acquired sensitizationのみを考えていては解決されず,先天感作congenital sen-sitizationの基礎の上の後天感作として把握しなければならないことに気がついた。と同時に,先天感作の基礎の上の後天感作を研究するには,最初に母乳栄養児のアレルギーを勉強し,次いで人工栄養児のアレルギーに及ぶのが便利であろうと感ずるに到つた。アレルギーの一環をなすと思われる乳児湿疹についても,全く同様なことが考えられる。よつて,まず,母乳栄養児の乳児湿疹の症例,次いでミルク栄養児の乳児湿疹の症例について述べ,それらの関係の理解のために,食物アレルギーの一つの型としての母乳栄養児のアレルギーに及び,更に先天感作について記したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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