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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科25巻2号

1971年02月発行

文献概要

展望

慢性蕁麻疹の治療

著者: 青山久1

所属機関: 1中京病院皮膚科

ページ範囲:P.107 - P.111

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 今まで,蕁麻疹はアレルギー性蕁麻疹非アレルギー性蕁麻疹、あるいは精神性蕁麻疹,食餌性蕁麻疹,寒冷蕁麻疹、機械的蕁麻疹(人工蕁麻疹),日光蕁麻疹などと分類されてきた。私はまず,この分類をやめて蕁麻疹を起こしている化学伝達物質(chemical mediator)によつて蕁麻疹分類を行なつた。すなわち,図1に示すごとき膨疹を起こしている化学伝達物質によつて,ヒスタミン性蕁麻疹,キニン性蕁麻疹,コリン性蕁麻疹,蕁麻疹様紅斑に分類した。この分類の利点は,診断をつけた瞬間,その患者に投薬する薬剤が決定されることにあり臨床上大変便利である。たとえば,今までの分類によつて診断を人工蕁麻疹とつけても,その患者に投薬する薬剤の選択は再度考えねばならないが,私の分類によれば、ヒスタミン性蕁麻疹とつけたら投薬は抗ヒスタミン剤を,キニン性蕁麻疹とつけたらオキシフェンブタゾン(タンデリール)と抗ヒスタミン剤と再び老えることなく薬剤が決定されてしまうわけである。
 まず,化学伝達物質の検査法を簡単にのべる。検査法は皮下灌流法によつた1)。すなわち,図2に示すごとく,患者の前腕外側にL-7の長針の横に穴を5つずつあけ,皮下に平行に刺し,一方より生食水を注入し,他方の針より採取した。この方法によつて採取した膨疹発生時の灌流液中に膨疹発生前の灌流液中にはなかつたウサギの摘出静脈収縮作用がみられた。すなわち,図3に示すごとく,膨疹発生部の皮膚には何らかの化学伝達物質が増加していることがわかる。つぎに,この化学伝達物質を同定してキニン性蕁麻疹,あるいはヒスタミン性蕁麻疹などと診断する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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