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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科25巻3号

1971年03月発行

文献概要

シンポジウム アレルギー性接触皮膚炎における抗原形成

Haptenの代謝

著者: 森川藤凰1

所属機関: 1資生堂研究所

ページ範囲:P.273 - P.285

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 ハロゲン化フェノール化合物の検討にとりかかつてまだ日も浅く,代謝の研究というところまで至つておりません。実験をやつてみて気が付くことは,物質の性状,たとえばpHやpKa値,実験動物の管理状態,紫外線光源の特性などの条件がデータの再現性やバラツキに非常に強く影響することです。今回はこれらの条件または要因に留意しながらハロゲン化フェノール化合物の感作反応の検討を行ないましたのでご報告申し上げます。
 皮膚に接触したり,経皮的に吸収された化学物質の多くは体内で代謝を受けます。代謝過程は酵素によつて進められますが,この酵素系は哺乳動物では一般に二つのカテゴリーがあることが知られています。その第1は体内で産生される生理学的な物質にあずかる系,あるいは生理学的物質と近似の外来化学物質に対して触媒的変化をつかさどる系であります。第2は生理学的な物質でない外来物質の構造を変化させる酵素系であります。これらのおもな反応として,酸化,還元,加水分解などの非合成的な反応と,グルクロン酸抱合や硫酸抱合のように生合成的な反応の二つに分けられほとんどの薬物代謝はこの第2のカテゴリーに含まれます。しかし感作反応は外来化学物質の代謝と同時に,自己,非自己の認識を行なうもので,さらにこれに免疫機構という非常に複雑なものが関与する反応で,通常の薬理作用とは異なつた異常作用であり代謝過程もまだ明らかでない点の多い反応であります。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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