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原著
皮膚科領域における補体の研究—皮膚疾患患者の血清補体価,日差変動,補体9成分力価
著者: 白石聡1
所属機関: 1徳島大学医学部皮膚科数室
ページ範囲:P.347 - P.352
文献購入ページに移動 20世紀のはじめ,補体は,血清コロイド状態の機能的な変化で,抗体の作用をおぎない,抗原抗体結合物に非特異的に結合する易熱性の因子と考えられていた。補体の物質としての追求は,Fer-rata (1907年)1)に始まり,Ritz2),Coca3),Gor-don,Whitehead,Wormall4)らの研究により4成分に分画され,その後,非特異的手段による不活性化を利用して,精製が試みられたが,その定量化は困難であつた。1953年Levine5)は,補体成分の反応過程にCa++,Mg++イオンを必要とする段階があると報告,その後これを利用して中間反応体が作られるに至り,基礎的研究が進み,現在,補体は9成分に機能的に,分離されている6〜9)。一方,その反応過程での生物学的性質も徐々に明らかにされ,その臨床的意義は,ますます重要になりつつある。
筆者は,その機能を活性の変動でとらえうる補体を指標として,アレルギー性皮膚疾患の病因,発生機序の解明を試み,Mayer10,11),Nishi-oka8,12〜14)らにより開発された血清補体価(以下CH50),各補体成分の力価を測定し,それらの変動と臨床経過の関連を検討し,興味ある知見を得たので報告する。
筆者は,その機能を活性の変動でとらえうる補体を指標として,アレルギー性皮膚疾患の病因,発生機序の解明を試み,Mayer10,11),Nishi-oka8,12〜14)らにより開発された血清補体価(以下CH50),各補体成分の力価を測定し,それらの変動と臨床経過の関連を検討し,興味ある知見を得たので報告する。
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