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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科25巻6号

1971年06月発行

文献概要

展望

表皮の脂質研究法

著者: 大城戸宗男1 花岡宏和2 松尾聿朗3

所属機関: 1名古屋市立大学医学部皮膚科教室 2横浜警友病院皮膚科 3慶応義塾大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.535 - P.542

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 表皮内における脂質代謝の研究目標は,その代謝異常症を探しだすことにある。しかし,それのみでなく表皮における代謝機構の追求の手がかりともなる。脂質はエネルギー源のみに限らず,蛋白質や糖質その他の複合体として細胞膜や細胞内顆粒膜の構成々分ともなつているからである。たとえばSwanbeck and Thyresson1,2)(1961)がX線回折法と赤外分光分析法により,keratinfibrilが蛋白と脂質の結合したリポ蛋白でおおわれているのを発見したのはその例である。
 われわれ皮膚を対象とするものが,表皮細胞で行なわれている生理,生化学,アレルギーひいては病態生化学上の知見のアプローチを蛋白質に求めても,表皮蛋白の多くは不溶性であり,また研究法の導入が遅れている今日,抽出が容易な脂質に眼が向けられるのは当然である。もつとも,簡単に抽出された脂質を分析した結果から--特に材料の入手が患者の負担にならず,しかも量的に十分とれる皮表脂質を調べた結果から--表皮内の代謝を知ろうとするのは相当な危険があつて反省させられる3)。そのため今後脂質研究法が発展するにつれ,生体内にあるがままの状態で検討されるべきではあるが,それ以前に,現在の常識化された方法を用いても生化学的に不明な点が多く解決されるであろう。脂質分析法に関し,本誌上でも佐藤ら4)が脂腺機能検査法と題して詳述しているが,ここでは表皮を対象としたさい,いかなる点に留意しながら材料を処理したらよいかを中心として,われわれが得た経験3,5〜11)を再検討して紹介する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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