文献詳細
原著
湿疹患者における毛細血管抵抗およびこれに対する抗ブラジキニン剤Homochlorcyclizineの影響について
著者: 山田瑞穂1
所属機関: 1大阪赤十字病院皮膚科
ページ範囲:P.663 - P.668
文献概要
湿疹は一種のアレルギー性疾患であるというところから,抗ヒスタミン剤を使うものもあるが,副作用としての眠気がいくらか効いたような印象を与えることはあつても,蕁麻疹に対するほどはつきりとした効果の見られることはまずないといつてよい(ただし,アトピー皮膚炎には多少効くことがあるように思われる)。宮沢1)は実験的にアレルギー性接触皮膚炎において,一度抗体が作られると,抗ヒスタミン剤はもはや皮膚炎の発生を抑制し得ないことを述べ,その他のchemical mediatorについても,それらが接触皮膚炎の発生因子とはならないが,蛋白分解酵素(Pronase-P)を加えて生ずるアレルギー性水銀皮膚炎の発生を,抗ブラジキニン剤homochlorcyclizineが抑制し,ブラジキニンが接触アレルギーにある程度関与している可能性を述べている。また,宮沢,熊坂2)は実験的DNCBアレルギー性接触皮膚炎に対して,diphenhydramine,homochlorcylizineの両者とも,著明な抑制作用を示さないが,実験的サルヴルサンアレルギー(一種の遅延アレルギー)に対しては,diphenhydramineで抑制効果が見られぬが,homochlorcylizineでは著明な抑制効果が見られたことを報告している。
掲載誌情報