原著
Granuloma gangraenescensの1例
著者:
石川芳久1
橋本紘2
小林敏夫2
所属機関:
1名古屋大学皮膚科
2名古屋第1日赤病院皮膚科
ページ範囲:P.23 - P.28
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1869年Mc Bride1)が鼻および顔面の急速な破壊をきたす1例を発表して以来,Woods2),Klinger3),Stewart4)など数多くの諸家が同様の疾患について報告している.このGranulomagangraenescens(G. g.)の病因に関しては炎症性,腫瘍性,代謝異常などの考察があり,現在のところ未だ本態不明の疾患とされており,臨床的にも確診が難かしく,剖検により始めて診断されるものも多い.G. g. の現在迄の報告例は約100例と推定されるが,診断に対する意見が区々としているので,正確な症例数は明らかではない.それ故,この疾患の同意語はいろいろあり,malignant granuloma,Osteomyelitis necroticansfaciei,lethal midline granuloma,reticuloendothelial sarcomaなどが知られている.一般的には男性に多く,20〜50歳代に発生し,文献的にはlethalな経過をとるものが大多数である.しかしMulfay5),Pichler & Traunerの他数例の生存例も報告されている.今回著者らはG. g. と考えられる一例を経験したのでその臨床的経過ならびに検査所見を記し,併せて若干の考察を加えてみたので報告する.