文献詳細
文献概要
論説
免疫グロブリンと補体と線溶系
著者: 山本一哉1
所属機関: 1国立小児病院皮膚科
ページ範囲:P.51 - P.56
文献購入ページに移動 アレルギ一性病変と免疫グロブリンおよび補体が密接に関連しあうことについては,あらためて述べるまでもない1).一方,これらの系と共に線維素溶解酵素系(以下線溶系)もまた,炎症性反応の発現にあつかつていることがしられている2).このような複雑な病態生理学的連繋は,皮膚科領域の疾患においても同様に存在しているのである.アレルギー性皮膚疾患としては湿疹・皮膚炎群が常に問題となるが,なかでも小児湿疹はその発生頻度,症状の特異性などからみても重要なものといえよう.
今日では小児湿疹の主体をなすものは,アトピー素因の上に成り立つと考えられるアトピー性皮膚炎に他ならないとされている3).したがつて,近年,アトピー性皮膚炎発症の基盤となる素因の解明,あるいはその素因をもつ個体の特異性をしる目的で種々の検索が行なわれている。最近ではこの方面の研究は,前述したような免疫血清学的,酵素学的方向に急速に進歩しており,本症の根底にこれらの遺伝的な機能異常があることが想像されている.しかも,このような機能は,それ自体乳幼児期には発達の過程にあり,正常な場合でも発育の時期に応じた変動が認められるものである.それ故,乳幼児期,小児期のアトピー性皮膚炎患児が示す免疫血清学的,酵素学的な特異性に興味がもたれるのである.
今日では小児湿疹の主体をなすものは,アトピー素因の上に成り立つと考えられるアトピー性皮膚炎に他ならないとされている3).したがつて,近年,アトピー性皮膚炎発症の基盤となる素因の解明,あるいはその素因をもつ個体の特異性をしる目的で種々の検索が行なわれている。最近ではこの方面の研究は,前述したような免疫血清学的,酵素学的方向に急速に進歩しており,本症の根底にこれらの遺伝的な機能異常があることが想像されている.しかも,このような機能は,それ自体乳幼児期には発達の過程にあり,正常な場合でも発育の時期に応じた変動が認められるものである.それ故,乳幼児期,小児期のアトピー性皮膚炎患児が示す免疫血清学的,酵素学的な特異性に興味がもたれるのである.
掲載誌情報