原著
昭和46年夏における伝染性膿痂疹の観察
著者:
安江厚子1
安江隆1
佐々田健四郎1
星野臣平1
所属機関:
1国立名古屋病院皮膚科
ページ範囲:P.933 - P.936
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伝染性膿痂疹は,夏季の幼小児の伝染性疾患としては最も多い疾患であるが,その特徴ある臨床症状より診断が容易であり,かつ比較的容易に治癒するため,その原因菌の検索や,その菌に対する薬剤感受性についてはなおざりにされる傾向が強く,治療方法も画一的になり勝ちである.しかしながら,その原因菌にも年次的変化や地域的差異があり,原因菌の薬剤感受性にも年々変化がみられる1).また最近,伝染性膿痂疹の遷延治癒等が原因となつて発症した膿痂疹性急性腎炎の報告が,欧米と同様に本邦においても散見されるようになつた2,3,4)ことから考え,伝染性膿痂疹の治療に際してはこれらの続発症の問題も考慮されるべきであると考えられる.昨年われわれは,名古屋地区における夏季伝染性膿痂疹の原因菌と,その薬剤感受性とを検索する機会があつたので,その結果を報告するとともに,最近の伝染性膿痂疹の問題点につき若干の考察を行つてみたい.