icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科26巻11号

1972年11月発行

文献概要

原著

著明な皮膚症状を示した特発性副甲状腺機能低下症

著者: 平野京子1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.991 - P.998

文献購入ページに移動
 副甲状腺機能低下は血清無機燐の上昇と同時に血清カルシウムの低下を来し,その疾患としては,特発性副甲状腺機能低下症,仮性副甲状腺機能低下症(Albright症候群),続発性副甲状腺機能低下症(最も多く甲状腺疾患における甲状腺摘出後の発症1,2))があげられている.この内,特発性副甲状腺機能低下症(以下IdH)は,本態不明な比較的まれな疾患であるとされており,下記のごとく規定される3a).1)低Ca血症の原因となるクル病及び骨軟化症がレ線上証明されないこと,2)慢性テタニーの存在,3)腎機能障害,脂肪性下痢症,慢性下痢症,Alkalosisの存在しないこと,4)副甲状腺ホルモン注射により尿中燐の著明な排泄増加をきたすこと.
 我々は最近,数年来癲癇として治療されていた患者で,昨年発作の頻発した頃より,脱毛と共に,顔面を除くほとんど全身の瘙痒を伴う紅斑,びらん,落屑性の著明な皮膚症状を随伴した本症の1症例に遭遇した.本邦におけるIdHの皮膚科的詳細な記載例は,ほとんどみられず,また,本症例のごとき著明な皮膚症状を示したIdHは海外文献にも稀有である.本例は吉野ら5)が既に内科的報告を行つているが,以下その症例につき若干の文献を参照して皮膚科的症状,病因論の研究などを主体として述べてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら