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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科26巻12号

1972年12月発行

文献概要

原著

播種性黄色腫とその周辺

著者: 滝沢清宏1 富沢尊儀2 安西喬3

所属機関: 1東京大学医学部皮膚科教室 2関東労災病院皮膚科 3関東労災病院

ページ範囲:P.1085 - P.1098

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 播種性黄色腫(Xanthoma disseminatum)は,正脂血性皮膚粘膜黄色腫のまれな1型で,四肢屈側や間擦部に好発し,しばしば尿崩症を伴なうものである.発疹は丘疹,あるいは結節性で慢性に経過し,予後良好の疾患であるが,粘膜,特に結膜,角膜,口腔,咽頭,喉頭,気管などにも出現し,時に気道閉塞という重大な合併症を伴ない,気管切開が必要となることがある.発疹は,通常長期にわたつて存在するが,時に自然消褪をみる.
 組織学的には,真皮における組織球,泡沫細胞,多数のTouton型巨細胞および炎症性細胞よりなる肉芽腫性病変で,初期の段階では,組織球の浸潤が主体をなすことから,本症の一次的病変として,肉芽腫形成性の網内系組織球浸潤(一種の細網内皮症)が挙げられ,組織球への脂質蓄積は二次的なものとされている1).したがつて,他の組織球浸潤性疾患,特にHistiocytosis X, Ncvoxanthocndothelioma, Histiocytoma cutis, Reticulohistiocytomaとの関連が問題となる.著者らは,本症と診断した1例を報告し,これと近縁の疾患との関連につき考察を加えたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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