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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科26巻2号

1972年02月発行

雑誌目次

図譜・348

汎発性浅在性白癬に併発した白癬性毛瘡

著者: 西山千秋

ページ範囲:P.100 - P.101

患者 59歳,男子
初診 昭和46年3月8日

図譜・349

ANGIOKERATOMA CORPORIS CIRCUMSCRIPTUM

著者: 石川謹也

ページ範囲:P.102 - P.103

患者 34歳,女
初診 昭和46年2月15日

図譜・350

サイアザイドによる扁平苔癬様皮疹

著者: 木村恭一 ,   植木宏明

ページ範囲:P.104 - P.105

患者 57歳男子
初診 昭和46年4月15日

原著

Weber-Christian病における免疫学的検討

著者: 金子史男 ,   伊藤俊輔 ,   永井盛人

ページ範囲:P.107 - P.111

 Weber-Christian病(以下W-Chr.病と略す)の本態は明らかでないが,近年その病因論において膵疾患との関連1〜3),脾の小動脈におけるonion skin lesionの発見4),腎糸球体におけるhematoxylin body, wire loop様変化5),リポイドネフローゼ様変化6,7)から本症は膠原病として考えられて来ており,臨床的にリウマチ8),全身エリテマトーデス9),皮膚筋炎10),鞏皮症4),多発性血管炎11)などとの合併が報告されている.また,本症患者に慢性細菌感染症を伴うものがあり,その多くがむし歯12〜16),慢性扁桃炎,中耳炎,虫垂炎で,さらには結核の合併17)も報告されている。組織学的には血管炎,血管壁のフィブリノイド変性の報告が多く,飯島18),佐野19),佐藤20)らはその原因を感染アレルギーに求めている.
 著者らはこれらの観点からW-Chr.病の1例について2,3の免疫学的検索を行ない,細胞性免疫不全状態の存在を推定し得たので,文献的考察とともに自験例を報告する.

Acquired Digital Fibrokeratomaの2例

著者: 雨宮直幹 ,   武井美保子 ,   阪田昭

ページ範囲:P.113 - P.116

 1968年Bartら1)は主に手指の関節部に後天的に生じた指状を呈する小突起物についてacquir-ed digital fibrokeratoma (以下ADFと略す)なる病名の下に記載,10例を報告した,以後同様症例がVerallo2)により報告され,詳細な検討が加えられている,本邦でも長谷川ら3)をはじめとして1〜24,5)の報告がなされている.著者らも最近本症の2例を経験したのでここに報告する.

いわゆる手足口病の疫学的調査

著者: 嶋多門 ,   石戸谷析一 ,   太斉公男

ページ範囲:P.117 - P.121

 いわゆる手足口病(以下HFMDと略す)は,本邦においては,昭和38年の中村らの報告以後,多くの人々の報告あるいは総説1,7)があいついで,今日では,きわめて周知の疾患となつている.HFMDの詳細な臨床症状,ウィールス学的ないし血清学的所見3,4,5)に関しても,いまさら喋々を要しない.また,不全型の存否,不顕性感染,同種腸管系ウィールス感染症との関連などに1,2の問題は残る2,3)としても,今日,HFMDが1つのclinical entityとして容認されつつあることは明らかである.むしろ,本症の今後の課題は,その流行の態様.つまり疫学的検討であろう.事実,昭和44年の全国的な流行以来,この方面の検討が活発に行なわれるようになり,きわめて最近でも,肥田野ら6)は東京を中心とする関東一円におけるHFMDの疫学的報告を行なつている.
 本症は,その特徴的な臨床像のゆえに,あえてウィールス学的・血清学的検索をまたなくとも,一般実地医家にとつても充分診断可能である2)と同時に,症状の比較的軽微であることからも,患者の多くは皮膚科または小児科の開業医において見出される.したがつて,本症の疫学的検討に関しては,一般実地医家の本症に対する理解と,患者に関する詳細な記載とが必要であろう,従来までの本症に関する報告は大学病院またはいわゆる大病院からのものにほぼ限られているが,多くの人1,2,6)がすでに言及しているように,本症患者でいわゆる大病院を訪れるものはむしろ少数で,それよりも遙かに多くの患者が家庭医ないし開業医を訪れており,従つて,本症の正確な疫学的検討は,一般開業医における患者の実態を基盤として行なわれるべきである.

Microsporum gypseumによる白癬の臨床

著者: 池上隆彦 ,   東禹彦 ,   庄司昭伸 ,   須貝哲郎

ページ範囲:P.123 - P.129

 白癬の病原菌としてMicro-sporum gypseumが分離されることは比較的まれではある.が最近では増加の傾向にあるその主な病型は,小水疱斑状白癬,ついでケルスス禿瘡であり,現在では同菌はケルスス禿瘡の主要起炎菌の一つになつた感がある.著者らは昭和41年いらい12例の同菌による白癬を経験し,その病型は小水癌斑状白癬7例,ケルスス禿瘡2例,生毛部毛包性白癬2例,頑癬様皮疹と小水癒斑状白癬との合併1例であつた.皮疹の発生部位は11例までが露出部に限られていた.患者の年齢は12例中8例までが14歳以下であつた.また多くの症例が受診前に湿疹皮膚炎群の疾患として医治を受けていたので,本編では同菌による白癬の臨床的観察を主として述べる.

論説

補体とキニンとプラスミン

著者: 白石聡 ,   武田克之

ページ範囲:P.135 - P.140

 炎症とは,一般に動物組織に起炎物質も含めなんらかの有害な刺激が加わり,細胞の正常な代謝過程を障害するような因子が作用した際にみられる生体の反応であり,時間を追つて刻々と変化し,stateてはなくprocessといわれ,二次的な全身反応も考慮せねばならず,複雑な局所反応ともいえる.
 皮膚科領域の炎症とて例外でなく,局所の障害に伴つて,まず体液調節物質あるいは抑制因子の活性化により各種のchemical mediatorが遊離される.これが血管の拡張および透過性の亢進を生起し,ついで白血球の粘着と遊走,血小板・赤血球の粘着,細胞の浸潤,増殖,さらには肉芽組織の形成,血管の新生という過程を経て治癒してゆく.ところで,この炎症の引き金は血管透過性物質とみなされ,アミン類(ヒスタミン,セロトニン),キニン類(プラスミン,カリクレイン,ブラディキニン),補体成分(補体第1成分,第3成分,第5成分),局所因子(アルサス透過因子,burns透過因子,lymphnode permeabilityfactor, permeability increasing factor)などが知られている.ことにアレルギー性炎症に際しては,抗原抗体反応によつて活性化された酵素系や補体による血管透過性亢進作用やchemotactic作用の存在が知られておりchemical mediator相互間の関係を解析しなければ,その本態を明らかにすることは難しく,今後の検討が待たれる現状である.ともあれ,炎症は古くから病理学の中心話題の一つであり,最近は抗炎症剤の開発につれ臨床各科でも炎症の生化学的研究が盛んになつてきた.私らも,徳島大学酵素研究施設の藤井教授らが合成された各種抗炎症剤をもちいプラスミン系と補体系の関連を検討し興味ある知見を得たので若干の文献的考察も加え報告してみたい.

補体に関する"総括討論"

著者: 谷奥喜平

ページ範囲:P.141 - P.146

 司会ではこれから総括討論に移ります.活発に発言をお願い致します.
武田河島先生にご教示いただきたく質問いたします.変動する補体の成分と臨床病型がとにかく関係するという興味あるデーターをお示しになりましたが,汎発性鞏皮症例では,C3の変動が確かに大きかつたのですか?私,約5年間にわたり経過を追求した汎発性鞏皮症例がございます.その症例について,補体の測定と肝機能の検査を平行して追求したところ,確かに初期の炎症性浮腫期は,ちようど先生がお示しになつたように,補体がかすかに変動しているときには,種々の肝臓機能検査が陽性となり,特に酵素系の反応が変動しております.その後,炎症性浮腫期から硬化性浮腫期に移行するに従つて,そういう酵素反応,いわゆる肝細胞の炎症反応が弱まるといつてよろしいのか,陰転しはじめる.すなわち,だんだんと硬化萎縮するに従つて肝機能検査もすべて陰転してきている.γ-globulinは余り変動もなく,正常域にとどまつている.いわゆるpro-gressive systemic sclerosis (汎発性鞏皮症)において,少くとも初期の炎症期には,いわゆる抗原抗体反応の関与する—アレルギー性発症とみなしてよいのではないか。そうすると反応が弱まるのは,谷奥先生がおつしやつているように,蛋白をつくる肝臓自身の機能低下,あるいは機能の喪失とも関係するかもしれない,だんだん補体が消費され,なくなつていく時期が萎縮硬化期にあたるのではなかろうかとの感じを受けますが,いかがでございましよう.そういう汎発性鞏皮症の初期の時期は補体も変動し,その時期には,やはりC3の変動も多かつたのでしようか?

薬剤

マデカソール軟膏の瘢痕ケロイドに対する臨床効果—ヒルドイド軟膏との二重盲検法による比較検討

著者: 奥村雄司 ,   赤木正志 ,   田中卓 ,   久保治彦 ,   田端誠

ページ範囲:P.147 - P.155

 マデカソールのパイロット的な臨床経験の報告はかなり耳目に接しており1),非常に興味をそそられていたが,今回二重盲検法による検討の依頼があつたので,著者のうち奥村がコントローラーとなつて本検査を施行した,試験薬に関して若干の説明をしたい.

第35回日本皮膚科学会

東部連合地方会見聞記

著者: 長島正治

ページ範囲:P.158 - P.161

 第35回日本皮膚科学会東部連合地方会は,昭和46年9月14日(火)および敬老の日にあたる15日(水)の2日間にわたり,札幌医大久木田淳教授を会長に仰ぎ,同皮膚科教室主催のもとに札幌市中島公園に隣接する札幌パークホテルにおいて開催された.
 数日前から本土に接近してきた26号台風も,ほとんど影響なく洋上に去り,遠くは四国・九州地区からの参加者も得て,盛大に開幕されたことは幸いであつた.また期間中も天候に恵まれ,すみきつた青空を仰ぎ得たことは,平生スモッグの中で生活しているわれわれにとつて,非常に嬉しいことであつた.

皮膚科学の流れ 人と業績・21

Louis DuhringとMoritz Kaposi

著者: 高橋吉定

ページ範囲:P.162 - P.164

Louis Duhring
("庖疹状皮膚炎"の続き)

Summaries in Arch. Derm.

Summaries in ARCHIVES OF DERMATOLOGY

ページ範囲:P.165 - P.171

 The original source of publication: Reprinted from ARCHIVES OF DERMATOLOGY, Vol. 104, Number 4; pages 345, 352, 359, 366, 374, 380, 385, 390, 393, 402, 407, 408, 412, 420, 422, 425, 427 and 431 July 1971 Copyright 1971, AMA.

外国文献

外国文献—専門誌から

ページ範囲:P.172 - P.173

THE BRITISH JOURNAL OF DERMATOLOGY84: 4, 1971
Hereditary Coproporphyria. Photosensitivity, Jaundice and Neuropsychiatric Manifestations Associated with Pregnancy: J.A.A. Hunter, S.A. Khan, E. Hope, A.D. Beattie, G.W. Beveridge, A.W. M. Smith and A. Goldberg 301
Trichostasis Spinulosa and its Management: I. Sarkany and P.M. Gaylarde 311

〈原著論文抄録〉

Weber-Christian病における免疫学的検討,他

著者: 金子史男 ,   伊藤俊輔 ,   永井盛人

ページ範囲:P.175 - P.175

 Weber-Christian病の本能は不明であるが,本症患者に慢性細菌感染症を伴うことが多く,局所病巣部の組織学的所見には血管炎,血管壁フィブリノイド変性が認められることから感染アレルギーの関与が推定される.
 著者らはWeber-Christian病の1例,25歳女子に,2,3の免疫学的検索を行なつた.すなわち,躯幹,四肢の結節性紅斑様皮疹は組織学的にリンパ球,組織球を中心とする脂肪織炎と,血管壁のフィブリノイド変性を,末梢血では著るしい貧血と,白血球減少,特にリンパ球の減少をみた.骨髄ではリンパ球系の軽度の減少,顆粒球系の成熟抑制,赤芽球系の優性を示していた.全経過中を通じて,気管支炎,肺炎,帯状疱疹などの細菌,ウイルス性感染症に罹患しやすく,血清抗体では免疫グロブリンの上昇と,補体系の減少がみられ,細胞免疫系ではツベルクリン反応の陰転化,著明な血中リンパ球の減少を示していた.リンパ球培養によるPHA反応は軽度の低値を示した.DNCBによる皮膚感作は不成立であつた.剖検は出来なかつたが,文献的に本症のリンパ節,脾の組織所見報告ではリンパ沪胞の極度の萎縮が証明されている.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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