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原著
いわゆる手足口病の疫学的調査
著者: 嶋多門 石戸谷析一 太斉公男
所属機関:
ページ範囲:P.117 - P.121
文献購入ページに移動 いわゆる手足口病(以下HFMDと略す)は,本邦においては,昭和38年の中村らの報告以後,多くの人々の報告あるいは総説1,7)があいついで,今日では,きわめて周知の疾患となつている.HFMDの詳細な臨床症状,ウィールス学的ないし血清学的所見3,4,5)に関しても,いまさら喋々を要しない.また,不全型の存否,不顕性感染,同種腸管系ウィールス感染症との関連などに1,2の問題は残る2,3)としても,今日,HFMDが1つのclinical entityとして容認されつつあることは明らかである.むしろ,本症の今後の課題は,その流行の態様.つまり疫学的検討であろう.事実,昭和44年の全国的な流行以来,この方面の検討が活発に行なわれるようになり,きわめて最近でも,肥田野ら6)は東京を中心とする関東一円におけるHFMDの疫学的報告を行なつている.
本症は,その特徴的な臨床像のゆえに,あえてウィールス学的・血清学的検索をまたなくとも,一般実地医家にとつても充分診断可能である2)と同時に,症状の比較的軽微であることからも,患者の多くは皮膚科または小児科の開業医において見出される.したがつて,本症の疫学的検討に関しては,一般実地医家の本症に対する理解と,患者に関する詳細な記載とが必要であろう,従来までの本症に関する報告は大学病院またはいわゆる大病院からのものにほぼ限られているが,多くの人1,2,6)がすでに言及しているように,本症患者でいわゆる大病院を訪れるものはむしろ少数で,それよりも遙かに多くの患者が家庭医ないし開業医を訪れており,従つて,本症の正確な疫学的検討は,一般開業医における患者の実態を基盤として行なわれるべきである.
本症は,その特徴的な臨床像のゆえに,あえてウィールス学的・血清学的検索をまたなくとも,一般実地医家にとつても充分診断可能である2)と同時に,症状の比較的軽微であることからも,患者の多くは皮膚科または小児科の開業医において見出される.したがつて,本症の疫学的検討に関しては,一般実地医家の本症に対する理解と,患者に関する詳細な記載とが必要であろう,従来までの本症に関する報告は大学病院またはいわゆる大病院からのものにほぼ限られているが,多くの人1,2,6)がすでに言及しているように,本症患者でいわゆる大病院を訪れるものはむしろ少数で,それよりも遙かに多くの患者が家庭医ないし開業医を訪れており,従つて,本症の正確な疫学的検討は,一般開業医における患者の実態を基盤として行なわれるべきである.
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