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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科26巻2号

1972年02月発行

文献概要

論説

補体に関する"総括討論"

著者: 谷奥喜平1

所属機関: 1岡山大学医学部皮膚科

ページ範囲:P.141 - P.146

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 司会ではこれから総括討論に移ります.活発に発言をお願い致します.
武田河島先生にご教示いただきたく質問いたします.変動する補体の成分と臨床病型がとにかく関係するという興味あるデーターをお示しになりましたが,汎発性鞏皮症例では,C3の変動が確かに大きかつたのですか?私,約5年間にわたり経過を追求した汎発性鞏皮症例がございます.その症例について,補体の測定と肝機能の検査を平行して追求したところ,確かに初期の炎症性浮腫期は,ちようど先生がお示しになつたように,補体がかすかに変動しているときには,種々の肝臓機能検査が陽性となり,特に酵素系の反応が変動しております.その後,炎症性浮腫期から硬化性浮腫期に移行するに従つて,そういう酵素反応,いわゆる肝細胞の炎症反応が弱まるといつてよろしいのか,陰転しはじめる.すなわち,だんだんと硬化萎縮するに従つて肝機能検査もすべて陰転してきている.γ-globulinは余り変動もなく,正常域にとどまつている.いわゆるpro-gressive systemic sclerosis (汎発性鞏皮症)において,少くとも初期の炎症期には,いわゆる抗原抗体反応の関与する—アレルギー性発症とみなしてよいのではないか。そうすると反応が弱まるのは,谷奥先生がおつしやつているように,蛋白をつくる肝臓自身の機能低下,あるいは機能の喪失とも関係するかもしれない,だんだん補体が消費され,なくなつていく時期が萎縮硬化期にあたるのではなかろうかとの感じを受けますが,いかがでございましよう.そういう汎発性鞏皮症の初期の時期は補体も変動し,その時期には,やはりC3の変動も多かつたのでしようか?

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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