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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科26巻3号

1972年03月発行

文献概要

原著

腫瘍形を呈した真性皮膚結核の1例

著者: 小林健正1

所属機関: 1千葉大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.229 - P.234

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 人類における結核症は過去2回の世界大戦による疲弊が誘因となつて,その都度,かなりの蔓延をみた.しかし,皮膚結核(CT)だけを切り離してみると,第1次大戦後の増加は衆目の認める所であつたが,第2次大戦後は他臓器と趣を異にする報告が多いようである.わが国のCTをみると,戦前一様に1.0%前後の発生率1)であつたが,戦後は北方で減少,南方で増加の傾向にあるようである2).と同時に,戦前比較的一定していた真性結核(GT)と結核疹との比は戦後に崩れ,終戦後のGTの相対的増加の後,抗結核剤の導入と共にCT全体が減少したが,とりわけGTの減少は著しかつた.従つて,昨今,われわれは皮膚科の診療に当つてGTを扱う機会も乏しくなつたが,著者はたまたまもつとも稀なCTである腫瘍状皮膚結核(TCT)に属すると思われる症例を経験したので,記載に留めたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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