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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科26巻6号

1972年06月発行

原著

頑癬の治癒判定について

著者: 黒田和夫12 矢口秀男2

所属機関: 1順天堂大学医学部皮膚科教室 2江東病院皮膚科

ページ範囲:P.511 - P.514

文献概要

 周知のごとく,頑癬および汗疱状白癬は経過中しばしば再発を見る.より正確には再発あるいは再感染というべきであるが,両者の鑑別は不可能に近い.再発とは臨床症状が消失したのちもなお菌が腐生的に存在(無症候性感染)し,それが何らかの機縁によつて発症することであり,再感染とはもとより治癒後新たに菌が侵入して発病することである.これらの疾患について再感染の証明は困難であるが,無症候性感染の有無は立証し得るはずである.
 汗疱状白癬の無症候性感染に関する著者1)の経験によると,夏期に本症に罹患し,冬期には治癒したとしている患者86例のうち36例を冬期に検査したところ22例において菌を検出した.この数字をそのまま信ずれば,冬になつて治癒したと考えている水虫患者の71%に菌が腐生しているという想像が成り立つのである.これを再発,再感染のいずれかに決めることはできないが,一種の無症候性感染とは見做し得ると思う.そこで今回は頑癬における無症候性感染の有無について検討した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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