icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科26巻7号

1972年07月発行

雑誌目次

図譜・356

陰門部の汗管腫

著者: 羽田俊六 ,   浜松輝美

ページ範囲:P.584 - P.585

症例 42歳,家婦
家族歴 既往歴 特記すべきことなし.

原著

Lichen amyloidosusについて

著者: 谷藤順士 ,   青柳俊

ページ範囲:P.591 - P.597

 Rokitansky1)は内臓に特異な均質性物質の沈着する疾患をはじめて記載したが,Virchow2)はその物質がヨードに対して澱粉と同様の反応態度を示すことからAmyloid-substanz (類澱粉物質)と命名した,このような全身性に類澱粉物質の沈着する疾患が数多く報告されるにしたがつて,時には皮膚および粘膜にも同様の物質が沈着することが知られてきた.一方Kenedy3)は,acroderm-atitis atrophicans diffusaと類似の症状を呈する皮膚限局性の類澱粉沈着症を報告したが,Köni-gstein4)は,紅色苔癬およびVidal苔癬を思わせる同症を記載し,かかる症例に対しFreudenth-al5)はlichen amyloidosusと命名した.その後Gottron6),Marchioniniら7)によつて種々の異なつた型の限局性類澱粉症が報告されたが,Röc-kl8)はこれらの各種の限局性類澱粉沈着症を原発性と続発性に大別し,前者にtumorförmige Am-yloidose(Holzmann u.Skeer),amyloidosis cutisnodularis atrophicans(Gottron),lichen amyloid-osus(Freudcnthal),poikilodermieartige Amyloi-dose(Marchionini u.John),maculöse Variante(Palitz u.Peck)の5型を含めた.またGracia-nskyら9)は,amyloïdose papleuse à type de lich-en amyloide de Freudenthal, amyloidose monilif-orme de Perassu, amyloïdose macleuse de Palitzet Peckの3型をあげており,Ruszczakら10)は,次のような分類を試みている.
A.primäre Veränderungen

皮膚症状を伴つた骨好酸球肉芽腫

著者: 鷲尾勝 ,   諸橋正昭 ,   長場雅男

ページ範囲:P.599 - P.610

 骨好酸球肉芽腫(Eosinophilic granuloma ofbone,以下E-Gと略す)は良性の経過をとる限局性の単発性または,多発性の破壊性骨病変を特長とする疾患で,1940年,Ohtani & Ehrlich1),Lichtenstein & Jaffe2)によつてそれぞれ別々に独立疾患としての研究の基礎が築れたものである.その後,E-G,Hand-Schullcr-Christian病(以下H-S-Chr病と略す),Letterer-Siwe病(以下L-S病と略す)3疾患の関係が問題となり,これらを同一原因により発生する疾患群としてとらえ,Histiocytosis X3)またはReticulogranuloma4)などの総括名の提唱がなされているが,なお異論5〜10)もある現状である.おれおれは,最近,2歳3カ月の男児の側頭骨に単発し,病理組織学的にも典型的なE-Gで,原発巣を手術的に治癒せしめた後に,皮疹を併発した1例を経験し,電顕的検索をも行つたので,これを報告するとともに,主としてE-Gにみられる皮疹の意義と,これと関連してE-GのHistiocytosis Xの中における位置づけについて2,3の文献的考察を行いたいと思う.

骨好酸球肉芽腫における皮膚病集内浸潤細胞の電顕的観察

著者: 諸橋正昭 ,   鷲尾勝

ページ範囲:P.611 - P.620

 著者らは,最近2歳3カ月の男児で,左側頭骨の骨好酸球肉芽腫(Eosinophilic granuloma ofbone,以下E-Gと略す)の摘出術後,組織学的,電顕学的にLetterer-Siwe病(以下L-S病と略す)に類似の像を示した丘疹が,皮膚に多発した1例を経験し,このような事実は個体側の因子の差異,あるいはその変動,さらにまた侵襲臓器によつて組織像──反応状態が異なることによつて招来されたものと考え,E-G,Hand-SchullerChristian病(以下H-S-Chr病と略す),L-S病は基本的には同じ病的過程によつて発生する疾患で,それらは,異つた病相のものであろうとの説を支持するものとの見解を本誌(26巻,7号,昭和47年)に報告した.
 今回は先の報告の中に一部触れたが,丘疹の病巣内に密に浸潤していた組織球性細胞とみられる比較的大きい,楕円形または多角形,腎形のクロマチンに富む核をもつ単核細胞中に電顕的に認められたランゲルハンス細胞顆粒について,電顕用回転傾斜装置をも用いて観察し,その生成について検討,さらにE-G,H-S-Chr病,L-S病,そして表皮ランゲルハンス細胞顆粒について比較検討を行なつたので報告する.

Rothmund Thomson syndrome

著者: 木村雅一 ,   牧野孝三 ,   島雄周平 ,   井上多栄子

ページ範囲:P.621 - P.627

 Rothmund12)は,1868年,白内障患者に,Poi-kiloderma様変化を伴う症例を報告した.一方,Thomsonは同様の皮膚変化で,白内障を伴わない症例を1921年18)に報告し,のち1936年19)症例を追加してPoikiloderma cengenitaleとした.Ta-ylor17)は1957年症例を加えて,この両疾患は同一のものであるとし,Rothmund and Thomson症候群とした.以後,このRothmund ThomsonsyndromeとPoikiloderma congenitaleの名が使用されて今日にいたつている.さて本症は,頬,耳介,四肢,臀部に網状の毛細血管拡張性紅斑,Livedo reticularis,色素沈着とその間の萎縮性の皮膚局面を主徴とするが,幼い時に発症し長年にわたつて多形性に経過して先天性白内障に代表される各種の先天異常を合併する疾患である.また家族内発症の報告もみられる.今回著者らは種々の異常を有する本症を経験する機会があったので本邦報告例と比較し若干の考察を加えてみた.

続発性棘状苔癬について—自験数例を中心に

著者: 平野京子 ,   升水達郎

ページ範囲:P.629 - P.635

 いわゆる続発性棘状苔癬(sekundärer Spinulos-ismus, spinulosisme)の原疾患としては,白癬および白癬疹,梅毒疹,扁平苔癬,苔癬状皮膚結核,毛孔性苔癬,砒素中毒疹,ことにサルバルサン疹,風疹,麻疹または猩紅熱様熱性疾患,Sch-ick-tcst過敏症,脂漏性皮膚炎等が記載せられている,私共は最近,続発性棘状苔癬の数例を経験し,観察する機会を得たので,ここに若干の文献的考察を加えて記載したい.

緑膿菌性敗血症にみた壊疽性膿瘡

著者: 三好薫

ページ範囲:P.637 - P.643

 化学療法の発達と普及は近年めざましいものがあり,多くの恩恵をもたらした反面,菌交代現象としてグラム陰性桿菌感染症を増加させた.とりわけ緑膿菌性敗血症(PS)は難治性で,エンドトキシンショック(ES)におちいり易く致命率が高い.
 Ecthyma gangrenosum (Eg)はすでに,19世紀末に緑膿菌との関係が注目され以降欧米では,その特異な臨床像はPSの診断に役立つとされ関心がもたれているにもかかわらず,本邦皮膚科領域においては,その点に触れた論文は意外に少ない.

皮膚科学の流れ 人と業績・26

Domenico MajocchiとHenri Hallopeau

著者: 高橋吉定

ページ範囲:P.644 - P.647

Domenico Majocchi
 Domenico Majocchiは1849年8月5日ローマに近いロッカルヴェッチェ(Roccalvecce)で生まれた.出生地で初等教育を受けたのち,哲学を学ぶ予備としてバニョレァ(Bag-norea)のカトリック神学校にはいつた.しかし彼の考えは医学のほうに変り,サピエンツァ(Sapienza)大学に入学して,1873年には学位をとつた。ロッカルヴェッチェで1年間一般医となつたのち,ローマに帰り,今度はまつたく皮膚科学と梅毒学との研鑚に専念した.
 聖ガリガノ病院(Ospedale di s.Galligano)においてシリンゴ(Sci-llingo)のもとで,彼は莫大な臨床材料に接した.この時期における彼の勉学が,のちに皮膚科のあらゆる分野において非凡な熟練を称された基となつたのである.1881年パルマ大学の皮膚科教授となり,その後ボローニァ大学において同じく教授の地位を占めた.

Summaries in Arch. Derm.

Summaries in ARCHIVES OF DERMATOLOGY

ページ範囲:P.648 - P.651

 The original source of publication: Reprinted from ARCHIVES OF DERMATOLOGY, Vol. 105, Number 1 ; pages 35, 42, 46, 52, 59, 67, 73, 79, 81, 91, 94, 96, 99, 103 and 107 January 1972 Copyright 1972 AMA.

外国文献

外国文献—専門誌から

ページ範囲:P.652 - P.653

THE JOURNAL OF INVESTIGATIVE DERMATOLOGY 57: 4, 1971
Molecular Inflammation of the Skin: R. K. Winkelmann 197
A Biologist's Reflections on Dermatology: R. E. Billingham and W. K. Silvers 227

〈原著論文抄録〉

Lichen amyloidosusについて,他

著者: 谷藤順士 ,   青柳俊

ページ範囲:P.655 - P.655

症例1,21歳,女.上背部に褐紅色ないし黒褐色の苔癬化局面を認める.
症例2,29歳,男.両下腿に褐紅色丘疹が集族.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?