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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科26巻8号

1972年08月発行

文献概要

原著

悪性黒色腫を生じた多発性境界母斑

著者: 池上隆彦1 鈴木伸典1 中野和子1

所属機関: 1大阪市立大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.703 - P.708

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 境界母斑は皮膚および皮膚粘膜移行部において,どこにでも分布しうるが,多くの場合,複合母斑の初期発展段階としての比較的一時的な状態であり,小児にのみ見られ,例外的な部位は手掌,足蹠および陰部で,そこでは小児とともに成人でも,組織学的にみられる(母斑)細胞型母斑の普通の病型であるとされている.
 最近,著者らは27歳男子で,悪性黒色腫とともに多発性散在性に境界母斑が存在した1例を経験した.すなわち,患者のほぼ全身に多数の点状色素斑を認め,体部,四肢についてはすべて,合計108の点状色素斑を組織学的に検索したところ,その88が境界母斑であり,またlentigo simplexから境界母斑の発生を思わせる所見も得た.患者は受診の3年前に悪性黒色腫を生じたと同部に,同様点状色素斑が存在したことは写真上明らかであつた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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