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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科26巻9号

1972年09月発行

雑誌目次

図譜・358

女子外陰部に発生した汗管腫

著者: 野村房江

ページ範囲:P.788 - P.789

患者 27歳.主婦.
初診 昭和46年9月9日.

原著

角化母斑の特異型—光顕的ならびに電顕的観察

著者: 広根孝衞 ,   鍛冶友昭 ,   川田宗弘 ,   藤川幸雄 ,   福代良一

ページ範囲:P.795 - P.806

 著者の一人福代1)はかつて,角化母斑のなかで特異な組織病変を示すものを詳しく研究し,これを角化母斑の特異型と称した.その組織病変の特徴は表皮細胞の空胞性変化,細胞質の粗状化と線維状化,およびケラトヒアリン顆粒の粗大化の三つの変化である.これらの中で,細胞質の粒状化と線維状化はGammel2)のいう好酸性変性(eosinophilic degqleralion),またLapiere3)のいう顆粒変性(degenerescence granuleuse)に相当する.
 他方,上述と同様な組織病変は先天性魚鱗癬様紅皮症(erythrodermia ichthyosiformis congenita,Brocq4))の水疱型3)および先天性掌蹠角化腫のある型5)においても主病変をなすことが知られており,また最近は,孤立性疣状皮疹6)や他の疾患7)の偶発変化としても同じような組織病変が見出されている.そのため,これらのものと角化母斑の特異型との関係についていろいろ論議されている.しかし,特異な組織病変の本態についての詳しい研究8,9)はまだ少ない.

Blue Rubber-Bleb Nevus Syndrome

著者: 鍛冶友昭 ,   広根孝衞 ,   北尾武 ,   岩口力男 ,   白崎幸雄

ページ範囲:P.807 - P.813

 Blue rubber-bleb nevus syndrome1)の名はわが国ではまだ耳新らしく,わずかに斎藤ら2)の1例が知られているだけである.われわれはさいきん本症の1例を観察した.

結節性黄色腫(Fredrickson II型)の1例

著者: 松尾聿朗 ,   新井亮一 ,   長島正治 ,   管野剛史

ページ範囲:P.815 - P.818

 Fredricksonら1)2)が血清脂質の転送にあずかるリポ蛋白の異常値より家族性高脂血症を5型に分類して以来,その皮膚表現たる黄色腫はその血清リポ蛋白異常により分類が行なわれるようになつた.
 今回われわれは20歳女子で臨床的には結節性血色腫を呈し,血清脂質分析でコレステロール血症並びにβリポ蛋白の高値を示し,Fredrickson家族性高脂血症分類II型にあたると思われる1例を経験したのでここに報告する.

偽性副甲状腺機能低下症の1例—主に皮膚骨腫について

著者: 秋葉弘 ,   古川洋太郎

ページ範囲:P.819 - P.824

 偽性副甲状腺機能低下症(pseudohypoparathyroidism,以下PHと略す)はAlbrightら1)により独立疾患として命名されたもので,慢性テタニー,血清カルシウム(以下血清Caと略す)値の低下,血清無機燐(以下血清Pと略す)値の上昇などの特発性副甲状腺機能低下症(idiopathichypoparathyroidism,以下IHと略す)の症状に加えて,短躯幹,短指,円形顔貌,皮下組織の石灰化(皮膚骨腫)などの特徴的臨床症状を示すきわめてまれな疾患であり,欧米においては約100例2),本邦においては折茂3)によると14例の報告があるにすぎない.PHは今まで内科医による報告がほとんどであり,石灰化についての詳しい記載は見当らない.われわれは皮膚骨腫を主訴として皮膚科を受診し,その後の検索によりPHと判明した1例を経験した.以下に主にその皮膚骨腫などについて報告する.

Chilblain lupusに続発せる棘細胞癌

著者: 福本洋治 ,   重見文雄 ,   武田克之

ページ範囲:P.825 - P.830

 腫瘍の発生は,内因と外因に大別され,内因としては,遺伝,ホルモン,外因として,機械的刺激,放射線,紫外線,温熱,化学的刺激などがあげられ,ウイルス感染説もある.
 皮膚の腫瘍とて例外でなく,皮膚の慢性炎症性刺激が誘因となつて,皮膚癌を発生したと考えられる症例も散見される.臨床上もつともしばしば遭遇する皮膚癌である有棘細胞癌は,熱傷瘢痕,放射線皮膚炎,色素性乾皮症など広義の癌前駆症に続発することが多い.

Darier病の1例

著者: 設楽篤幸 ,   高橋クニ ,   清水順也 ,   田子元

ページ範囲:P.831 - P.836

 Darier病は比較的まれな疾患であるが,その皮膚症状,組織像の特徴は広く知られている.本症にはときに非定型疹が併発する.そのうちのいわゆる灰白色斑についてはその本態をめぐつて議論のあるところである1-4).また本症の皮疹が間擦部などで肥大増殖性となることがまれにあると記載されている.われわれは大腿部の灰白色斑と頭部の乳頭腫状増殖,さらに顔面,躯幹の尋常性座瘡を伴なうDarier病の1例を経験し,かつDarier病の皮疹をビタミンA酸軟膏,5-fluorouracil(5-FU)軟膏などで治療する機会を得たのでここに報告する.

慢性骨髄性皮膚白血病—帯状疱疹を合併した1例

著者: 岩崎範理 ,   浜田尚徳 ,   木原藤夫 ,   舛本博康 ,   向笠洋三

ページ範囲:P.837 - P.841

 白血病はすでに知られているように,単球性,骨髄性,リンパ性の3種類にわけられ,それぞれはその発症の形式,経過より急性と慢性とにわけられている.
 白血病はしばしば皮膚症状を伴ない,白血病細胞の浸潤のみられる特異疹と紫斑などの非特異疹とにわけられる.白血病は抗体の産生の場であるリンパ節をおかす関係上,免疫不全状態となりやすく,そのため真菌,細菌,ウィールスの感染をおこしやすく,また感染した場合でも重篤になるといわれている.

薬剤

二重盲検法によるRS−410FAPGクリームの尋常性乾癬に対する効果

著者: 木村秀人 ,   猿田隆夫

ページ範囲:P.845 - P.848

 今回,われわれけ田辺シンテックス株式会社よりFluocinolone acetonide acetate0.05%cream(RS-410 FAPG)と吉草酸ベタメサゾンを0.12%含有するcreamの提供をうけ,尋常性乾癬にたいし,二重盲検法による治療効果を比較検討する機会を得たので,ここに報告する.

皮膚科学の流れ 人と業績・28

Jean-Louis BrocqとGeorge Henry Fox

著者: 高橋吉定

ページ範囲:P.850 - P.853

Jean-Louis Brocq(前回からの続き)
限局性神経皮膚炎(Notes pourservir à I'Histoire des Nevrodermites)2)
 前述の諸観察例は,細かい点ではいくぶん異なつてはいるが,外観の類似(air de famille)を示すので,直ちに1群にとりまとめることをためらう者はいない.すべてを通じ,瘙痒の著しい限局性疾患で,常にまつたく乾燥した限局性局面を形成し,皮膚の肥厚と浸潤,著しい固定性,慢性の経過を特徴とする.
 これから,症例を詳しく検討することにする.

Summaries in Arch. Derm.

Summaries in ARCHIVES OF DERMATOLOGY

ページ範囲:P.854 - P.857

 The original source of publication: Reprinted from ARCHIVES OF DERMATOLOGY, Vol. 105, Number 4;pages 535, 541, 544, 548, 551, 555 558, 561, 570, 572, 574, 578, 580, 584, 537, 589 591, 593 and 598 April 1972 Copyright 1972 AMA.

外国文献

外国文献—専門誌より/外国文献—一般誌から

ページ範囲:P.858 - P.864

ARCHIV FUR DERMATOLOGISCHE FORSCHUNG241: 2, 1971
Frei im Cytoplasma liegende Melanin-synthetisierende Membrananordnungen beim malignen Mclanom: G. Klingmuller und Chr. Schmoeckel 115
Acrodermatitis chronica atrophicans mit fibroiden Knotcn und monoklonale Gammopathic: M. Coos, D. Roelcke und U. W. Schnyder 122

〈原著論文抄録〉

角化母斑の特異型—光顕的ならびに電顕的観察,他

著者: 広根孝衞 ,   鍛冶友昭 ,   川田宗弘 ,   藤田幸雄 ,   福代良一

ページ範囲:P.866 - P.866

 金沢大学皮膚科において観察した角化母斑の特異型8例の組織像とその1例の電顕像について述べた.組織像は全例に共通で,角質層の顕著な肥厚・表皮細胞の空胞性変化・細胞質の顆粒変性・ケラトヒアリン顆粒の粗大化を特徴とした.電顕的観察により,表皮細胞の空胞性変化は細胞内の浮腫性変化であること,顆粒変性の本態はトノフィラメントおよびその束の形成異常であること,またケラトヒアリン顆粒の粗大化は顆粒の母体であるトノフィラメント束の形成異常に続発した二次的変化であることを明らかにした.また,角質の微細構造にも顕著な異常があり,角質層では比較的よく角化した細胞層と角化の不完全な細胞層が交互に重積,前者は均質な角質から成り後者は不規則に配列したトノフィラメント様細線維やトノフィラメントの凝集塊様均質塊などから成ること,またこれらの角質細胞間にほぼ正常構造を保つたデスモソームが,まれならず存在することを明らかにした.角質に関するこれらの所見から,本症における角化不全の要因は恐らく周期的に変動するものと推測された.なお,本症と先天性魚鱗癬様紅皮症およびisolatcd epidermolytic acanthomaとの関係について考察を加え,さらにこれら一群の疾患と同じ範疇に入るべき播種型の存在を示唆した.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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