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原著
マイボーム腺癌の1例—特発性血小板減少症を伴つた
著者: 今井清治1 池田重雄1
所属機関: 1東大医学部皮膚科教室
ページ範囲:P.855 - P.861
文献購入ページに移動 62歳,女性.初診の約4年前,右上眼瞼に「ものもらい」様のものを生じ,某医のもとで手術を受けたが,3カ月後に再発,以後腫瘍は漸次増大.初診時,腫瘍は拇指頭大,不整形,表面皮膚は平滑だが凹凸不平に隆起した結節性腫瘤で軟骨様硬,被覆皮膚とは大部分で可動性を有し,部分的に黄白色を呈す.圧痛なし.結膜面でも腫瘍は凹凸不整に隆起している.領域リンパ節は触れ得ず.検査所見で白血球増多,血小板減少があり,特発性血小板減少症を指摘されている.治療は全摘出後,全層植皮術.本腫瘍は解剖学的に瞼板より生じており,組織学的に腫瘍巣は胞巣状を呈していて,腫瘍巣の一部に脂腺様構造を認め,腫瘍細胞には細胞の大小不同,核の異型性,核分裂像がみられた.また,嚢腫様構造を呈する腫瘍巣もあり,ズダン皿染色で陽性に染まる脂肪球が特に胞体の明るい細胞の部分に顕著に認められた.マ腺癌は皮膚科領域での報告は少いが,その診断,治療には慎重を要する.
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