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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科27巻10号

1973年10月発行

文献概要

一頁講座

Ultraviolet Erythema

著者: 佐藤吉昭1

所属機関: 1九段坂病院皮膚科

ページ範囲:P.893 - P.893

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 紫外線のヒト皮膚に対する紅斑効果については,280nmに谷のある曲線がStandard Erythema Curveとして標準化され,長年親しまれてきた(米国照明学会出版のThe St-andard Lighting Guideの最新版であるIES Lighting Handbook,1972を開くと,理由の記載はないが,今なお,Standard Erythema Curveを支持している).ところが,1965年Everettらは新しい形の紅斑効果曲線を報告し,その中で,従来の"Standard"のもとになつた実験は,紅斑反応に関連するいくつかのpa-rameterについての検討が不足していることを指摘した.その後,Fre-ernanら,1966,Crippsら,1970もあいついで新しい形の曲線を報告し,皮膚に対する紫外線の紅斑効果は波長の短いものほど大きく,250〜260nmあたりに最大があつて,310nm近くに向つて漸減するというpatternを示した.別図で対比されているように,この新旧両者の間には,300nmあたりから.急激に下降する点をのぞき,著しい差のあることがわかる.さらに,一見同様な1920〜1930年代の曲線も注意深く比較すると,296.7nmのpeakにおける一致をのぞき,270nm以下,とくに250nmでは大きな開きがみられる.この差につき,これら曲線の報告者の1人であるLuckieshは後日(1946年),当時短波長紫外線のenergy測定が非常に難しかつたこと,また短波長域の紅斑はevanes-centであるため,照射後の判定時間によつてその価が大きく左右されたことを理由にあげ,InternationalCommission on Illuminationでは,これらの価のapproximate averageを用いて標準化したと述べている.
 さて,ではなぜこの標準曲線に対して異論がでてきたのであろうか.Everettら,1969は,"Standard"はいろいろな研究者の部分的なデータと補間によつて合成されたものであり,とくに実験条件の異つたデータを一括処理したことに最大の欠陥があるといい,具体的には照射のan-atomical site,照射野のfield size,光源の種類,放射の分光的純度,判定時間,季節などをその要因としてあげた.事実,実験に用いた光源は主にHg arcで,対象は小人数,部位は主として腕で,field sizeは小さく,観察時間はまちまち,照射時間も30分以上といつた条件でえられた結果であり,定量的なMEDの記載もない.この波長別MEDの絶対値は報告されていたとしても,各国の測定標準に若干の差があるので(わが国でも最近測定原器の目盛移動があつた),現在のものと厳密に比較はできないが,relative effectiveness算出のもとになるものであり,光源の特性や分光的純度と密接な関係があるため,記載のないことは問題であろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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