文献詳細
原著
Mycobacterium kansasiiによるスポロトリコージス様皮膚感染症の1例
著者: 滝野長平1 所祥子1 美誉志康2
所属機関: 1東京医科歯科大学皮膚科学教室 2東京医科歯科大学中央検査部
ページ範囲:P.1035 - P.1040
文献概要
皮疹は熱帯魚の水槽を掃除中に受けた外傷部に初発し,漸次大きさを増すと共に求心性に散布疹を生じて来た.自覚症はなかつた.
生検材料を組織学的ならびに菌学的に検索したが,組織学的には比較的特徴の乏しい慢性肉芽腫の像を呈した.菌学的には真菌は検出出来なかつたが,1%小川培地にて光発色性抗酸菌が検出され,生化学的性状からMycobacterium kansasiiと同定された.またマウスへの接種実験では肺・腎・肝・脾などに病巣の形成を認めた.
治療は試みに使用したdemethyl chlortetracyclineで散布疹は消失し,治療に抗した原発巣は完全に切除した.
本菌による皮膚感染症は比較的珍らしいものと思われるので,若干の文献的考察を加えた.
掲載誌情報