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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科27巻2号

1973年02月発行

綜説

皮膚の病的角化

著者: 広根孝衞1

所属機関: 1金沢大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.111 - P.118

文献概要

 種々の角化異常症において,3種の病的な角化,すなわち角質増殖(hyperkcratosis),不全角化(parakcratosis)および異常角化(dyskeratosis)は単独に,または二つ以上併存した形で見られる.それらはおそらく表皮細胞の角化(角質形成)に関与する成分の全部または一部の異常によつて起こり,その結果として異常な角質細胞および角質が形成される.
 他方,角化に関与する既知の細胞成分としてはトノフィラメント(以下TFと略),ケラトヒアリン(KH)顆粒,デスモソーム(DS)およびmembrane coating granule (MCG)があり,それぞれ角質の線維成分の前駆物質,角質の線維間物質の主成分,TFの繋留装置,および角質細胞の細胞膜の肥厚に関係あるものと考えられている.そこで,病的角化の電顕的研究では,表皮細胞におけるこれらの諸成分が観察のおもな対象になる.またさらに,これら諸成分の角質形成に果たす役割を解明するため,各成分の変化と角質細胞および角質の異常との関係も常に検討されねばならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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