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原著
文献概要
23歳男子の右下口唇下部に生じた特異な毛嚢母斑の1例を経験した.臨床的に正常皮膚色の,爪甲大,半球状に軽度に隆起せる腫瘤で,硬毛の群生を認めた.組織学的,組織化学的な検索を行ない以下の結果を得た.毛嚢に大小2型があり,小型の毛嚢はminiature follicle様であるが,その結合織性毛根鞘は集塊状に増生し,各毛周期に相当する毛嚢の毛球部が包みこまれている像を示した.大型毛嚢は毛髄質の不整塊状変化,毛乳頭内への上皮索の突出,毛球部周囲結合織における基質(酸性粘液多糖類)の増加などを示した.これら毛嚢に一致してみられる奇形性変化は毛嚢母斑と考えられ,特に小型毛嚢の結合織性毛根鞘からなる結合織集塊は結合織性毛根鞘母斑(conncctive tissuesheath nevus)とも称しうる特異な像である.
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