文献詳細
原著
文献概要
8カ月,女児.初診47年1月20日.2カ月前より両頬部に紅色丘疹を生じ,医治を受けていたが,一部皮疹が潰瘍化したので来院.潰瘍面の壊死物質の鏡検により褐色に着色した幅5〜7μの隔壁を有する菌糸および透明で幅2μ前後の菌糸と直径2〜3μの胞子の集団を見い出した.培養によりアルテルナリアとカンジダを分離した.痂皮でおおわれた丘疹の組織学的検索において,上記2種の菌要素を認め,膿疱中では幅広い菌糸が主なることを見い出した.以上の所見より本例はアルテルナリア・カンジダ混合感染症と診断した.本例における潰瘍はアノレテルナリアの感染に基づく可能性が大なることを指摘し,植物寄生性真菌であるアルテルナリアもときには人に対して病原性を示す場合があることを述べ,アルテルナリア感染症について文献的にも考察した.なお,自験例はピマフシン軟膏の外用により略治した.
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