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原著
化粧品障害と化粧品のpHについて
著者: 浦上芳達1
所属機関: 1京都第一赤十字病院皮膚科
ページ範囲:P.383 - P.391
文献購入ページに移動 化粧品皮膚炎患者について,化粧品のpHに焦点を合わせて臨床統計学的観察を行なうとともに,若干の実験的考察を加え次の結果を得た.1)各種化粧品貼布試験の結果,化粧品皮膚炎患者は化粧品に対して多種過敏性を示す.2)既知pHクリーム(pH2.2,pH8.0)と酸,およびアルカリ化粧品貼布試験陽性一致率は高率で一致を見た.3)既知pHクリーム(pH8.0,pH2.2)7日間朝夕塗布した結果,皮表pHは塗布せられたクリームのpHに従って酸およびアルカリ化するが,そのアルカリ中和能には変化を見ない.また化粧品皮膚炎患者の額中央部の皮表pHはアルカリ側に偏し,中和能はおとろえている.4)皮膚炎発生率の高い化粧品は皮表pHの復元速度が遅い.
以上のことより化粧品皮膚炎は皮膚の生理的修復能力とpH等外的刺激との平衡が破れて,機能的にも形態的にも表皮の傷害があらわれたものと推測した.
以上のことより化粧品皮膚炎は皮膚の生理的修復能力とpH等外的刺激との平衡が破れて,機能的にも形態的にも表皮の傷害があらわれたものと推測した.
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