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皮膚附属器などの構造を立体的に観察する試み—Stereohistomorphology
著者: 佐藤良夫
所属機関:
ページ範囲:P.508 - P.508
文献購入ページに移動毛嚢脂腺系を研究してきた筆者は,以上のようなことから,立体的な組織構造を把む簡便な方法がないものかと考えた.そこで思い出したのが,筆者が入局した年に抄読会で読んだLeachの論文1)であり,たまたまそのころ掲載されたSander-son & Thiedeの論文2)を参照し,この方法にならつて500μ厚の切片を観察することを現在の鷲尾助教授にやつてもらうことになつたわけである.それは昭和36年であつた.以来この方法を現在も用いており,ときには他の方法も併用しつつ毛嚢脂腺系,汗管などの立体的観察を行なつている.この方法は採取した組織片中に含まれる皮膚附属器の様子を,ごく少数の切片で全部観察できる.たとえば0.5cm厚の皮膚組織について連続切片を作るには,普通の方法では10μの厚さとして500枚を要するが,この方法の500μ厚切片だと10枚の切片で充分であるということになり,かつ核染色のアントラセンブルー染色は透光性で実体顕微鏡で観察することにより立体的に検討できるのである.厚切片の観察・検討法にも若干の工夫が加えられ,また再構築模型を作製して参考にする.従来の平面的な所見に,three-dimensionalな所見を加えようとするこのような検討に対し,stereohistomorphologyと呼称している3).
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