文献詳細
原著
文献概要
要約 患者は51歳,女性.20歳頃より頭部に瘙痒ある皮疹を,やがて頭部全体に凹凸をみとめるようになつたが,治療もしないまま放置していた.現症:頭部全体,主として前後に走る皺襞と深溝を有し,あたかも脳回転のごとくである.また,同時に頭部全体,厚い白色鱗屑によつておおわれ,剥離すると下床には著明な紅斑および一部には出血をみとめる.
鱗屑を鏡検するに疥癬虫を多数みとめ,病理組織でも厚い角質層下に多数の疥癬虫体がみられ,虫体は毛のう深部にまで侵入しているのがうかがわれた.真皮においては炎症性変化以外著変は認められなかつた.チアントールにて治療開始後約3週間後には鱗屑・瘙痒ともに消失し軽度の紅斑をみるのみとなつたが,同時に皺襞,深溝も著明に軽減した.このことより本症を疥癬という炎症性刺激が誘因となつて生じた脳回転状皮膚(Fischerの分類第1群第1項)と考え報告した.なお内分泌系異常・精神異常等はみられなかつた.
鱗屑を鏡検するに疥癬虫を多数みとめ,病理組織でも厚い角質層下に多数の疥癬虫体がみられ,虫体は毛のう深部にまで侵入しているのがうかがわれた.真皮においては炎症性変化以外著変は認められなかつた.チアントールにて治療開始後約3週間後には鱗屑・瘙痒ともに消失し軽度の紅斑をみるのみとなつたが,同時に皺襞,深溝も著明に軽減した.このことより本症を疥癬という炎症性刺激が誘因となつて生じた脳回転状皮膚(Fischerの分類第1群第1項)と考え報告した.なお内分泌系異常・精神異常等はみられなかつた.
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