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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科27巻6号

1973年06月発行

文献概要

講座

皮膚癌の治療(2)—特に電子線療法について

著者: 石原和之1 柳田英夫1

所属機関: 1国立がんセンター皮膚科

ページ範囲:P.537 - P.543

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 皮膚癌の放射線治療として従来より行なわれているものに,深部X線(200KVP規格),超軟X線(Machlett Be-窓X線,Bucky X線,Dermopanなど),小線源治療(226Ra針,222Rnシード,60Co針など)あるいはTele 60Coなどがあげられる.しかし,最近高エネルギー電子線発生装置が登場しこれが各施設に導入され新しい治療法として加えられた.したがつて本邦では電子線治療の歴史は比較的新しい.ふりかえつて外国では,その歴史は古く,1921年,米国のSlepianあるいはハイデルベルグのPhilipp,Lenardなどによつて基礎理論がすすめられ,1940年米国のD.Kerstによつて初めてベータートロンが設計され,1945年ゲッチンゲン大学に6 Million elec-tron Volt (MeVと略)ベータートロンが医療に登場した.実際の治験報告は,皮膚腫瘍に対するものが最初で,1949年,Bode,PaulおよびSchubertがこれを行なつた。このように,高圧治療特に電子線に関する歴史はかなり古くから認められるが,本邦では1965年の筆者らの報告が,皮膚腫瘍に関しては最初と思われる.現在,使用されている電子線発生装置には2種類をあげることができる.すなわち,ベータートロン(betat-ron)とリニア・アクセラレータ(linear accerela-tor)である.後者は直線型ブで,エネルギーを変えることができない.しかし,広範囲(例えば全身)に照射できるという利点がある.国立がんセンターにおいては,ベータートロンとして18MeVのもの1台(独,Siemens製),リニア・アクセラレータ(リニアアクと略)として6MeVのもの2台(米,Varian製と日本,日本電気製)が設置されている.この電子線発生装置を利用して皮膚癌の治療経験を記載すると同時に2,3の基礎的概念について併記する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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