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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科27巻8号

1973年08月発行

文献概要

原著

ペニシラミン服用中に生じた表皮水疱症様病変について

著者: 森嶋隆文1 今川一郎1 松崎孝子1 遠山国彦1

所属機関: 1日本大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.685 - P.690

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 Wilson病治療剤であるペニシラミンは種々の副作用を呈し,その毒性作用の1つとして栄養障害型表皮水疱症類似の病変を惹起することが知られている.最近,われわれはWilson病の診断のもとに,1日2gのD−ペニシラミンを7年間服用していたところ,両肘頭,膝蓋および臀部に,所により血疱ならびに黒色面皰および帯黄白色の小嚢腫を混ずる萎縮性病変をきたした17歳の男子例を経験した.病理組織学的には真皮網状層上層に多数の赤血球を入れた裂隙形成を,また,毛孔の角栓形成ならびに表皮嚢腫の像を認めた.文献的考察から,ペニシラミンによる皮膚病変はコラーゲンおよびエラスチンの架橋形成の障害に起因した皮膚の脆弱性に基くと憶測された.栄養障害型表皮水疱症の病因に関しても結合組織の代謝異常が重視されており,自験例は栄養障害型表皮水疱症の病態を解明するにあたり興味ある症例のように思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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