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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科28巻1号

1974年01月発行

雑誌目次

図譜・374

CUTANEOUS HORN

著者: 金磯智津子 ,   桑原章 ,   重見文雄

ページ範囲:P.6 - P.7

症例 70歳 男子,建築業
初診 昭和48年1月17日

図譜・375

新生児のケルズス禿瘡

著者: 下重孝子 ,   斎藤隆三 ,   中野政男

ページ範囲:P.8 - P.9

症例 3カ月,男児
初診 昭和48年3月12日

座談会

「考える皮膚科学」をめぐって

著者: 佐藤良夫 ,   高橋吉定 ,   旗野倫 ,   橋本謙

ページ範囲:P.11 - P.14

「考える皮膚科学」とは
 編集室本誌もおかげで創刊28年目を迎えることになりました.編集同人の先生がた,ご寄稿下さつた先生がた,そして読者の皆様に厚く御礼申し上げます.
 さて,本日は論文原稿の検討をされていて日頃感じておられることを中心に,本誌の今後,また皮膚科学のこれからなどについて編集同人の四先生にお話し合いいただきたいと存じます.司会を橋本先生にお願いいたしますので,よろしく.

綜説

成人水痘にみられたいわゆるStille Meningitis—成人水痘の概説

著者: 岩下健三

ページ範囲:P.15 - P.23

 水痘はありふれた小児の疾患である.また多少の発熱はあつても全身状態は侵されず予後は一般によい.しかし成人の水痘は稀とまでいえないが,極めて少ない.また比較的重症の少なくないことが指摘されている.Touraine('35)1)は,臨床的に顕性の神経系症状は欠けているが,髄液に異常の認められるものをStille Meningitisの名で呼んでいる.帯状疱疹についてであるが,われわれもまた同じ問題をとりあげ検索を進めている最中に,たまたま成人の水痘例にかような所見を見出し得た.臨床的に顕性の神経合併症に進展しかねなかつた例であるが,小児では別として,成入例におけるかかる所見は見当らない.のみならず,元来予後がよいとされているためであろうか,成人水痘に比較的重症の少なくないことが指摘されながらも,とかく安易に老えその合併症などについては案外一般に多くは知られていない.しかも成人水痘は皮膚科方面で専ら扱われている.
 で,以下,自験例を記載すると共に,成人水痘を中心に,その頻度,合併症及び予後の一般を概説し,更に自験例との関連から特に神経合併症に言及したいと思う.

原著

基底細胞母斑症候群

著者: 長島正治 ,   田中玲子

ページ範囲:P.27 - P.37

 5歳男児の基底細胞母斑症候群の1例を報告し,本症候群の臨床症状・病理組織所見・鑑別診断・予後および治療などにつぎ,文献的考察を加えて概説した.
 自験例には,ほぼ全身対側性に無数の禍色ないし黒褐色,罌粟粒大から粟粒大の丘疹がみとめられ,稗粒腫様皮疹も多数これに混在した.褐色丘疹は組織学的に豊富な間質を伴ない,毛嚢分化傾向を示す基底細胞母斑で悪性像はみとめられなかつた.
 掌蹠小陥凹・顎骨嚢胞・二分肋骨などの異常はみとめらねなかつたが,軽度の前額突出・眼球突出・高口蓋・多数の禹歯・鼠径ヘルニア・脳波異常を合併した.染色体検査に異常なく,副甲状腺機能も正常であった.

手掌,指腹の角質増殖型皮膚カンジダ症

著者: 東禹彦 ,   池上隆彦

ページ範囲:P.39 - P.43

要約 手掌,指腹の角質増殖型皮膚カンジダ症の4例を報告した.2例においては,手掌から指腹にかけて,瘙痒を欠き,軽度に角質増殖を伴い,一部に鱗屑を付着した皮疹が認められ,他の2例では指腹に浸軟した皮疹が認められた.4例ともに一部の爪に変形,混濁や爪囲炎が認められた.初診時に皮疹の直接鏡検で全例角層内に菌糸および胞子を認め,培養によりC.albicansを分離した.3例においては治療を行つたにもかかわらず,皮疹はあまり改善されず,また菌も消失せず,きわめて難治であつた.全症例ともに爪病変から指腹に病変が波及したものではないかと推測した.手掌,指腹のように角質層の厚い皮膚にカンジダ感染を来たすことは稀で,報告も少ないが,注意深く検索すればかなり発見し得るのではないかと,思う.

いわゆる自家感作性皮膚炎における好酸球ならびに好塩基球の関連について

著者: 滝野長平

ページ範囲:P.45 - P.52

 いわゆる自家感作性皮膚炎の入院例14例について木村・谷崎による好塩基球ならびに好酸球数直接算定法とSkin window法を用いて検討し次の結果を得た.
1)末梢血好酸球数は皮疹の持続期間と或る程度の関連を示し,且つ病勢の変動に応ずる増減を示した.また局所療法で軽快しても,370/mm3以上の価を維持する場合は再燃の危険の大きいことが示唆された.
2) Window部への好酸球の出現は特徴的で初期に高値を示し,以後経時的に減少するPa-tternを示した.また症状の軽快によりその出現の割合は著明に減少した.
3)好塩基球は末梢血及びWindow部共に態度は概して不定で,一応これらの本症に対する関連は少いものと推測された.
 次にこれら結果に若干の考察を試み,本症と好酸球との本質的な関連を想定し,かつ末梢血L好酸球数の直接算定により,予後判定の一助となし得ることを強調した.

Angioleiomyomaの3例

著者: 藤沢竜一 ,   森川孝雄 ,   矢代昭夫 ,   鳥山悌

ページ範囲:P.53 - P.59

 Angioleiomyomaの3例を報告した.
 症例1.38歳,女.5年来,左前腕伸側に碗豆大の硬い皮下小結節あり,表面は僅かに紫紅色,軽い毛細血管拡張を伴う.自発痛,圧痛あり,放散痛なし.
 症例2.25歳,女.1年半来,右下腿屈側に直径5mmの小結節あり,自発痛,圧痛,放散痛あり.
 症例3.38歳,女.左下腿内側に5〜6年来,時々自発痛あり,2〜3年前から小豆大の硬い小結節発生,圧痛著明.
 全例,外科的に摘出.組織像は定型的.
 自験例を加えた本邦報告例313例を総括した要点を記載した.男123,女190で男:女=1:1.5.受診年齢は30代から50代に多く68%を占める.好発部位は下肢で64%,そのうち特に下腿に多い.単発が普通であるが多発例3例あり.82%に疼痛があり,多発性皮膚平滑筋腫の59%,他の単発性皮膚平滑筋腫の71%より頻度が高い.

興味ある経過をたどつた尋常性天疱瘡の1例

著者: 木村恭一 ,   益田俊樹

ページ範囲:P.63 - P.67

 63歳,女子.発症以来2年余を経過しながら,病巣が口腔粘膜と頭頂部にのみ限局して見られ経過の良好な尋常性天疱瘡の症例を報告した.この様な皮疹が限局性の場合は,血中天疱瘡抗体が見られぬこと,また口腔粘膜疹の診断には生検を行うまでもなく細胞診(Tzanck test)が極めて有利な検査法であることを再確認した.患者は短期間ステロイド内服により,頭部の皮疹は消失したが,内服中止後は口腔びらんのみ再発を繰返しながら現在に至つている.

講座

爪の疾患(1)

著者: 東禹彦

ページ範囲:P.69 - P.79

 爪の疾患についてのまとまつた記載は古くはHeller1),Pardo-Castcllo and Pardo2)によつてなされ,本邦では岡村3),加納4)によつてなされている,近年ではSammanによつて,より実際的な著書5)が出版されている.最近20年ぐらいの間に,samman6),Jarrettら7),zaias8-10),Lewis11),Lewin12),Achten13)らによつて,つぎつぎと爪に関する研究が報告されているが,組織学的検索が困難なことと,爪変形と爪甲周囲組織病変との因果関係を明らかにすることの困難さのために,爪変形の原因や発生機序に関しては,未だ不明の点が少なくない.その上,疾患名の定義においても混乱がみられ,疾患の分類の基準も確立されていないのが現状である.
 本講では日常比較的よく遭遇する爪変形の発生機序を中心として解説を試み,治療法についても言及したい.

連載 皮膚科学に貢献した医学者たち・9

色素性蕁麻疹(その2)

著者: 高橋吉定

ページ範囲:P.80 - P.83

4.アメリカにおける記載
 アメリカにおいても,イギリスと同様に,肥満細胞症(mastocytosis)という一疾患群を立て,色素性蕁麻疹をそれに含めるのが一般である.
 LewisおよびWheelerの記載3)は簡明にこのアメリカにおける概念を表わしているので下に掲げる.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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