文献詳細
原著
文献概要
要約 手掌,指腹の角質増殖型皮膚カンジダ症の4例を報告した.2例においては,手掌から指腹にかけて,瘙痒を欠き,軽度に角質増殖を伴い,一部に鱗屑を付着した皮疹が認められ,他の2例では指腹に浸軟した皮疹が認められた.4例ともに一部の爪に変形,混濁や爪囲炎が認められた.初診時に皮疹の直接鏡検で全例角層内に菌糸および胞子を認め,培養によりC.albicansを分離した.3例においては治療を行つたにもかかわらず,皮疹はあまり改善されず,また菌も消失せず,きわめて難治であつた.全症例ともに爪病変から指腹に病変が波及したものではないかと推測した.手掌,指腹のように角質層の厚い皮膚にカンジダ感染を来たすことは稀で,報告も少ないが,注意深く検索すればかなり発見し得るのではないかと,思う.
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