原著
皮膚カンジダ症—最近の傾向
著者:
境繁雄1
帷子康雄1
矢口宏
所属機関:
1弘前大学皮膚科教室
ページ範囲:P.733 - P.740
文献購入ページに移動
皮膚カンジダ症は最近急激な増加がみられる.その主なものは乳児カンジダ症成人の股部のカンジダ症,外陰部カンジダ症などで,乳児のみならず成人のカンジダ症も増加している.比較的珍らしい病型も多くなり,汗疹様ないし播種状型,顔面のカンジダ症なども観察された.乳児カンジダ症の増加要因として,これまであげられているもののほかに排便後,母親が清拭を怠つていることも原因と思われる.外陰部カンジダ症の増加の一因として夫婦間の感染が重視されるが,これを証明することは必ずしも容易でなく,夫婦一緒に治療するものの少ないのが現状である.また,通常非病原性とされているG.albicans以外の菌種も種々の条件下で病原性を発揮し,これによる発症も増加傾向にあるのではないかと思われる.