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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科28巻2号

1974年02月発行

雑誌目次

図譜・376

Poroma Folliculare

著者: 山崎律子 ,   橋本謙

ページ範囲:P.94 - P.95

症例 63歳,女子
初診 昭和47年7月24日

図譜・377

紅色肥厚症

著者: 黛隆介 ,   石川英一

ページ範囲:P.96 - P.97

症例 55歳,女子
初診 昭和47年3月17日

綜説

皮膚感染症をめぐる免疫学的問題

著者: 小川秀興

ページ範囲:P.99 - P.112

 感染ならびに感染症の定義は明確でないが,感染を,Bellantiは"The process of colonization oforganisms in or on the host"とし,感染症をparasiteの存在がhostに悪影響(疾患)を招来せしめたものと簡単に定義している(Bellanti1)).感染症を形成する諸種の症状は,parasiteに対するhostの反応の結果発現される4,のであり,良きも悪しきも生体の示す防衛手段の実力行使の姿(過程ならびに結果)ともいえよう.皮膚感染症とは,けだし,反応の主舞台を皮膚に持つものといえる.一方,免疫という言葉は広義に使用されているが,感染においては免疫という言葉に"病気を免れる"という語源的意味を持たせることができる(大高2)).このように考えてくると,感染症の成立には,免疫—生体防禦—機構の何らかの破綻が必要となつてくる訳である.

原著

脂腺にみられたMelanocyte

著者: 伊藤一弘 ,   佐藤昌三 ,   高橋誠 ,   上杉孝 ,   篠島弘 ,   久木田淳

ページ範囲:P.113 - P.117

 正常ヒトおよび熱傷後毛嚢一致性に色素沈着をみる部位の脂腺にみられたmelano-cyteを霜子顕微鏡的に観察した.
1)正常ヒトでは脂腺の外側の未分化脂腺細胞間にmelanocyteは存在するが,poorly ac-tive formであり,Dopa反応によりわずかな数のpremelanosomeを認めるにすぎなかつた.周囲の脂腺細胞へtransferされているmelanosomeはみられなかつた.
2)熱傷後毛嚢一致性に色素沈着を示す部位の脂腺では,よりactive formのmelanocyteがみられ,かなりの数のpremelanosome,melanosomeを産生している.
3)成熟した脂腺細胞の原形質にmelanosome complexを見出し,脂腺細胞は貧食能を有することを示唆する所見と老えらわる.

Necrobiosis lipoidica—症例報告ならびに既報邦人症例について

著者: 重見文雄 ,   木下浩彰 ,   松岡睦子

ページ範囲:P.119 - P.126

 59歳,家婦の両手背と両下腿前,側,後面に発生した例と47歳,家婦の両下腿外側に発生したNecrobiosis lipoidica (NL)の2症例を報告し,Granulomatosis disciformischronica et progressivaを含めて既報邦人23症例に関する統計的観察を行つた.25症例中14症例(58%)に潜伏ないし顕性糖尿病の合併がみられた.男9に対し女16例と女に好発し,発症部位は下肢発生が21例と圧倒的に多い.なかでも下腿(膝蓋より下)が19例で,そのうち10例は下腿前面に病巣があつた.下肢以外にも皮疹をみるが,下肢に皮疹のない症例は3例のみであつた.自験第1症例の手背の皮疹の臨床像はGranuloma annulare (GA)に似ており,NLとGAの類似性についても言及した.

限局性粘液水腫の1例

著者: 五十嵐稔 ,   佐藤昭彦 ,   吉田克己

ページ範囲:P.127 - P.131

 両脛骨前面並びに足背部に定型的病変があり,更に右肩に巨大な腫瘤を認めた59歳,男子の限局性粘液水腫の1例を経験した.本症例は甲状腺機能が低下し,LATSは陽性であつた.組織学的に,は右肩,脛骨前面共粘液水嘘の定型像を呈し,組織化学的にはTestic-ular Hyaluronidase,Streptomyces HyaluronidaseならびにChondroitinase ABC処理により線維間物質が完全に消化されたことから,この物質はヒアルロン酸及びコンドロイチン硫酸と同定した.
 本症は脛骨前面に多く発生し,過去において他部にも認められた症例がいくつか報告されているが,右肩にも発生した点,極めて特異である.

Folliculitis decalvansと細胞性免疫—口腔カンジダ症を合併した兄弟例

著者: 設楽篤幸 ,   五十嵐良一 ,   諸橋正昭

ページ範囲:P.133 - P.140

 被髪頭部にみられたFolliculitis decalvansの21歳と17歳の兄弟例を記述した.両親はいとこ同士である.2例とも口腔カンジダ症を有し,症例1(兄)ではカンジダ性睫毛性眼瞼縁炎を合併していた.Staphylococcus aureusが2例とも検出されたが,その菌に対する即時型アレルギー反応は認められなかつた.兄例ではツ反応,DNCBテストが陰性であり,PHA—細胞出現率はやや低下していた.弟例ではツ反応が陰性,DNCBテストは弱陽性であり,PHA—細胞出現率は正常であつた.またヒツジ赤血球に対するロゼット形成はそれぞれ12.4%,11.4%と低下していた.免疫グロブリンはIgGが2例とも高値を示したがIgA,IgMは正常であり,Influenza virusに対する抗体産生は2例とも正常に認められた.これらのことから体液性免疫は正常であるが細胞性免疫に何らかの低下(先天性?)が考えられ,それが発症の背景をなしているものと推測される.

印象記

Fourth Conference on Biochemical Aspects of Epidermal Differentiationに出席して

著者: 手塚正

ページ範囲:P.118 - P.118

 この会はミシガン大学のProf.Bernsteinが毎年主催している小規模,限定メンバー(50名)の研究会で,activeに研究活動をしている研究者のために開かれています.
(I.A.Bernstein, Ph.D.,Professoror Environmental and IndustrialHealth and Biological Chemistry,The University of Michigan,皮膚に於げるDNA, RNA合成(1957),表皮基底細胞でDNA合成が行われ,角質でDNAは消失する(1961),表皮細胞に於ける蛋白合成の証明(1966),ヒスチジン・リヅチ蛋白の抽出及び同定(1967),が主な業績で皮膚自身が1つの独立した器官として機能をはたしている事の解明に最も重要な足跡を残している.)

講座

菌状息肉症

著者: 田代正昭 ,   野村慶子

ページ範囲:P.141 - P.153

 1832年Alibertにより初めて記載された菌状息肉症は,皮膚細網症類の中でその占める位置になお若干の論議の余地があるとしても,本症の末期はいわゆる細網系細胞の腫瘍性増殖であり,予後もまた不良である.しかしその処に至るまでには,臨床的には極めて特長的な推移をみ,組織学的にも特異な炎症性肉芽腫性の細網系増殖が認められ,本症は臨床上独自の性格を有する疾患と考えられる.
 本症については,すでに諸家により多数の報告があり,ことに古谷,川田らは本症に関する知見を詳細に解明され,われわれはそれに補筆しうる所見をとくに所持しないが,これを機会に教室例を整理したので,症例を中心に記載する.

爪の疾患(2)

著者: 東禹彦

ページ範囲:P.154 - P.165

 前回は正常爪について,爪疾患を検討していく上に必要な事項を記し,併せて爪の色の変化を生じる場合の原因について記した.今回は爪の形態的な変化を中心にして述べる.爪の形態的異常を生ずる原因については不明な点が多く,治療法も確立されていないものが多いので,不十分な記載になつていることを御諒承願いたい.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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