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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科28巻4号

1974年04月発行

文献概要

一頁講座

汗孔角化症→エリテマトーデスの関連—枠組の構成

著者: 筏淳二1

所属機関: 1京都府立医大皮膚科

ページ範囲:P.292 - P.292

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 標題をみてとまどわれた方もあるだろう.汗孔角化症→ダリエ病→家族性良性慢性天疱瘡(以下H-H病)→尋常性天疱瘡→紅斑性天疱瘡→エリテマトーデス(以下LE)と書けばおおかたの皮膚科医は納得されると思う.これを1本の軸とし,さらに尋常性天疱瘡より他の天疱瘡群,類天疱瘡,ジューリング皮膚炎,滲出性紅斑を分岐させ,LEより皮膚筋炎,硬皮症,figurate erythemaを分岐させる.これら分岐もfigurateerythemaを除き異論は少ないであろう.
 まず共通点をあげると,汗孔角化症,ダリエ病,H-H病は家族内発生,季節的変動,膿疱の出現をみる.さらに前2者は粘膜疹,中心臍窩(組織学的),毛のう,汗孔の病変がある.異常角化,棘融解は後2者の特徴で,同症との見解もある.汗孔角化症でも異常角化はまれでない.天疱瘡群は書くまでもない.紅斑性天疱瘡とLEとは蝶型紅斑のほか,最近両者に尋常性天疱瘡も含め重症筋無力症,胸腺異常,抗核抗体をみることが明らかになつた1).逆に相違点をあげると,汗孔角化症は棘融解を欠きダリエ病と異なる.顔を侵すことは,ダリエ病では普通であるが,成人のH-H病では例外的のみならず,口腔粘膜をも侵さない,尋常性天疱瘡の家族内発生はまれで,予後もH-H病と対照的である.水疱はLEでもみるが基底層の液化変性によるとされ,類天疱瘡などの水疱の発生機序と異なる.本質的な差は,天疱瘡類,LEは自己免疫疾患であり,汗孔角化症,ダリエ病は自己免疫を思わす所見を欠くことである.以上,個々の疾患の間に明確な差異はあるが,相互に関連性をもつことは否定できない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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