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原著
虫刺によると思われる環状紅斑について
著者: 山田瑞穂1 河合享三1
所属機関: 1大阪赤十字病院皮膚科
ページ範囲:P.377 - P.381
文献購入ページに移動 第1例:40歳男子,胸部,腹部,鼠蹊部に遠心性に増大し,環状の,また融合して不規則形の紅斑となり,それらの大部分は中心に虫刺と思われる小丘疹を有していた.第2例:28歳男子,左上腹部に遠心性に増大する環状の紅斑を生じ,おくれて生じた環状紅斑の中心に小丘疹を有していた.第3例:42歳女子,左臀部に遠心性に増大する大小の環状の紅斑,不規則に融合した紅斑が見られ,これらの中心に点状の小丘疹を有するものが多かつた.第4例:66歳女子,左臀部に大きな遠心性環状紅斑とその辺縁に小紅斑が見られ,大きなものの下縁に小丘疹が見られた.組織学的所見は,4例とも真皮の血管周囲性細胞浸潤があり,好酸球をかなり混じていた.これらの例は,虫刺により注入された毒液が遠心性に拡散するにつれて,環状の紅斑を生じたものと考えた.本症は,Lipschutz, AfzeliusのEry-thema chronicum migransとは異なるが,虫刺により生ずる遠心性の環状の紅斑という点では類似のものと考える.
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