原著
アンピシリン投与による発疹
著者:
東順子1
須貝哲郎1
高木喬1
所属機関:
1大阪回生病院皮膚科
ページ範囲:P.389 - P.394
文献購入ページに移動
アンピシリンによる発疹頻度は,通常のペニシリンよりも有意に高く,本剤による感作が通常のペニシリンによる感作よりも成立し易いことを示唆する.アンピシリンによる薬疹例はペニシリンG,アンピシリンおよびbenzyl penicilloylヒト血清アルブミンでの皮内反応陰性例がほとんどで,皮内反応のみでは薬疹を予知することは困難であり,薬疹の原因薬剤の決定には,内服テストを行なわねばならない.アンピシリン製剤相互間には発疹頻度に差がなかつた.例数が少ないので,統計的に有意の差を認めなかつたが,アンピシリン内服による5.9%に対し,注射では12.5%の発疹頻度であつた.また,薬疹と考えられた例でも,誘発テストで,連続内服を行なつても発疹を生ぜず,薬剤過敏以外の原因によるものも存することを確認した.アンピシリンとヘタシリンによる薬剤過敏交叉例を2例中2例に認めたが,ヘタシリンでの発疹頻度は通常のペニシリンと同じであつた.