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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科28巻6号

1974年06月発行

雑誌目次

図譜・381

毛嚢虫性痤瘡

著者: 楠俊雄 ,   原田誠一

ページ範囲:P.426 - P.427

症例 58歳,主婦
初診 昭和48年1月16日

綜説

瘢痕癌について—熱傷瘢痕癌を中心として

著者: 藤田英輔 ,   木下敬介 ,   山本慶一郎

ページ範囲:P.429 - P.442

 皮膚の瘢痕癌ないしはそれに近い範疇のものを,瘢痕の成因別に整理するとともに瘢痕癌の概念について検討した.瘢痕癌中,臨床上重要な位置を占める熱傷瘢痕癌を,癌化までの病変の経過によつて検討した結果,慢性型(瘢痕型および潰瘍型),急性型および慢性熱刺激型に分けられることを述べた.熱傷瘢痕有棘胞細癌(慢性型)および前癌と考えられる病変の各自験例として,それぞれ19例および3例の観察所見を記載するとともに,19自験例に本邦報告例を加えた計50例の熱傷瘢痕有棘細胞癌例(慢性型)に関する所見を基にして,熱傷瘢痕癌の発生頻度,性別,発生部位,癌化までの病変の経過,癌化時年齢,受傷から癌発生までの期間に影響を及ぼす因子,予防と治療,前癌病変および発癌機転に関して考察を加えた。

原著

全経過を観察しえたLetterer-Siwe病の1例

著者: 益田俊樹 ,   萩山正治 ,   小玉肇

ページ範囲:P.445 - P.451

 生後1カ月で小水疱を初発症状として発症したLetterer-Siwe病の1例を報告した.この症例は,小水疱の生検により,初期において本症と診断されたもので,その後間擦疹様皮疹,脂漏性湿疹様皮疹,出血斑など本症の典型的な皮疹を続発し,10カ月の経過後,全身症状の増悪をきたして死亡した.その治療および経過を述べ,皮疹につき若干の考察を加えた.皮疹を初発症状とする症例においては,脱色斑の混在に注意し,皮疹の組織学的検討による本症の初期における診断が大切である.

Papillon-Lefevre症候群—初報告後4年,5年ならびに11年を経て観察しえた3例

著者: 宮田千珈子

ページ範囲:P.453 - P.460

 初報告後4年,5年ならびに11年を経たPapillon-Lefevre症候群の3例を観察する機会を得たので,それぞれの現在の状態を述べ,初報告時と比較観察するとともに蒐集し得た11例の本邦報告例につき臨床事項の概説を試みた.
 本症候群の皮疹は,生後数か月頃,掌脈または足臆に始まる例が多く,徐々に拡大し掌蹠のみならず手足の背面,指趾の背面におよび,さらに肘頭,膝蓋にも生ずる.一般に掌蹠角化の程度は高度であるがメレダ病ほど著しくなく,病巣部の多汗も伴つていない.これらの点で本邦例をみる限り本症候群とメレダ病とは若干皮膚所見を異にしているように思われる.歯周症は,多くは2〜3歳頃までに始まり,いかなる保存療法も効無く,ついにすべての乳歯を失い義歯を装着するに至る.永久歯もまた萠出後順次同じ運命をたどり,若年の頃より全義歯を装着せざるを得ない.

アザプロパゾンによる光線過敏性皮膚炎

著者: 南晃次 ,   稲嶺盛磨 ,   尾高達雄

ページ範囲:P.461 - P.466

 アザプロパゾン(製薬名;シンナミン)による光線過敏性皮膚炎(光アレルキー性皮膚炎)と考えられる症例を体験したので報告する.症例は69歳の老婦人で膝の痛みで整形外科医に同薬の投与を受けた.初回服用より16日目に顔面手背に最初の皮膚症状を来した.臨床所見は露出部皮膚面の掻痒性の発赤腫脹で特に眼瞼周囲は浮腫状となり前腕には水疱形成も認められた.組織学的には真皮全層の浮腫,血管拡張とリンパ球を主体とする細胞浸潤そして一部表皮の海綿状態があつた.特徴的変化は真皮中下層,特に血管周囲性に好酸球の顕著な増多を認めたことである.誘発試験は4回施行,ブラックライトでは誘発できなかつたが,太陽光線では曇天時でも微量の内服で皮膚症状の誘発を確認した.化学構造上で興味があるのは,この薬剤にも塩酸ベンジタミンと同じく側鎖に第3級脂肪族アミンを持つている点である.

Mefenamic acid(Pontal)による薬疹の1例

著者: 滝野長平 ,   大熊守也 ,   広瀬至

ページ範囲:P.467 - P.472

要約 44歳家婦で整形外科領域の疾患の治療中に発症したに皮疹は多形滲出性紅斑型を呈し,顔面・四肢・躯幹に散在性,一部集族・融合性に認められた.瘙痒を伴うが特に発症初期に顕著であつた.
内服試験によりmefenamic acidによることを確かめ,更にこれにアレルギー機序の関与と,またその反応に与える特異基はxylidineの部である可能性が大きいことを推定した.貼布試験・skin-window法では明らかな陽性反応を得ることはできなかつた.
そのほか本例にみられた肝機能異常を考えさせる血液化学的検査の成績および未梢血好酸球増多について,約4カ月間追跡調査しこれらと本剤との関連について考察を加えた.なお本剤による薬疹の発生頻度は0.9%とされ比較的稀なものである.

皮膚臨床—病理カンファレンス(3)

Nevus pilosus

著者: 安原稔 ,   清金公裕

ページ範囲:P.474 - P.475

 症例 54歳 主婦
 現病歴と現症 12歳頃から鼻根部に小さい柔らかい丘疹が存在していた.いつの頃か不明であるが,丘疹は豌豆大となり,表面淡黒褐色となり,有毛性となつてきた.最近発赤を来し,軽い瘙痒を覚えるので来院した.臨床所見は鼻根部に横径12mm,縦径9mm,高さ3mmの境界鮮明な腫瘤が存在し,表面の色は淡黒褐色で,長さ2mm〜5mmの黒色毛を多数存在した(図1).

毛孔腫

著者: 本間真

ページ範囲:P.476 - P.477

症例 49歳 女子
現病歴と現症 約4カ月,前頭部に米粒大の皮疹が1個あるのに気付いたが,自覚症状のないため放置していたところ,徐々に増大するとともに,隣接の毛孔に一致しても皮疹が生じて来た。

Trichofolliculoma

著者: 安原稔 ,   清金公裕

ページ範囲:P.478 - P.478

症例 35歳 主婦
現病歴と現症 約3年前より眉間中央部に1個の小丘疹が発生した.自覚症状のないまま放置していたが,5カ月前よりこの丘疹は徐々に増大してきた.圧迫すると丘疹の中央部よりチーズ様物質を排出するという.丘疹は5mm×6mmの扁平に隆起する腫瘍で,その中央部に小孔があつてやや陥凹し,灰白色の物質がみられる,初診時強圧を加えたが,内容は排山されなかつた(図1).

Trichoepithelioma

著者: 安原稔 ,   清金公裕

ページ範囲:P.479 - P.479

症例 40歳 主婦
家族歴 患者の子供2名,母,姉,姉の長女に同様の皮疹を認める.

Trichoepithelioma:generalized type

著者: 池田重雄 ,   日野治子 ,   宮里肇

ページ範囲:P.480 - P.481

症例 28歳 男子
現病歴と現症 10歳頃より左眉毛部,左上頬部に粟粒大までの小丘疹発生,18歳頃には右顔面に同様な皮疹多発,同時に四肢,躯幹にも硬い皮下小結節が多発しているのに気付く.顔面正中部,即ち両眉毛部,鼻,鼻唇溝を中心に粟粒大乃至半米粒大の正常皮膚色乃至淡褐色充実性小丘疹が左右対称性に集族.頭部,両側耳前部,耳後部にも同様皮疹多発,耳後部では淡青褐色調を呈するものが混在,両側腎部より大腿外側にかけて,米粒大乃至小豆大迄の淡褐青色の小色素斑が多数粗に集籏,皮下に硬い小結節が触れる.右腋窩では,皮下に示指頭大及び小指頭大の弾性硬の皮下腫瘤を2コ触れる.手背,指背,足背にも米粒大から小豆大迄の硬い皮下小結節を散在性に認める.

Tricholemmoma

著者: 森岡貞雄 ,   山口全一

ページ範囲:P.482 - P.483

症例 75歳 女性
現病歴と現症 15歳頃より左耳介上後部に粟粒大の疣状皮疹があつた.約5年前に小指頭大,約1年半前に母指頭大となり出血性分泌物と疼痛のために某病院にて病理組織検査,電気焼灼を受けた.1年前より同部に腫瘍再発,疼痛,分泌物を伴い,急速に増大したために来院.左耳介附着上部より左耳介前面,一部側頭部にかけて鶏卵大の基底のくびれた乳嘴状の腫瘍1個あり.腫瘍と耳介前面は癒着し,所々血痂,糜燗を見る.表面凹凸不平,腫瘍の前面は黒色を呈す,本腫瘍に接して表面粗造,一部黒色調を呈する扁平な小結節1個を見る.左耳後腺小指頭大腫張(図1).

連載 皮膚科学に貢献した医学者たち・13

パジェット病

著者: 高橋吉定

ページ範囲:P.484 - P.490

1.はじめに
 本症が乳癌を併発するという臨床的観察は,1874年早くもPagetによつて指摘され,その皮疹に独特の細胞の見られることは,すでにその2年後にButlinによつて発見された.これによつて本症の臨床的組織学的独立性は確定されたが.本症と乳癌との発生関係は,その後も長い間議論の対象となつた.しかるに今やそれも国際的にほぼ絞られた見解に達し,以下記述する諸国学者の説くところを読めば,おおむねそれを領解することができると思う.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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