原著
アザプロパゾンによる光線過敏性皮膚炎
著者:
南晃次1
稲嶺盛磨1
尾高達雄1
所属機関:
1関西医科大学附属香里病院皮膚科
ページ範囲:P.461 - P.466
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アザプロパゾン(製薬名;シンナミン)による光線過敏性皮膚炎(光アレルキー性皮膚炎)と考えられる症例を体験したので報告する.症例は69歳の老婦人で膝の痛みで整形外科医に同薬の投与を受けた.初回服用より16日目に顔面手背に最初の皮膚症状を来した.臨床所見は露出部皮膚面の掻痒性の発赤腫脹で特に眼瞼周囲は浮腫状となり前腕には水疱形成も認められた.組織学的には真皮全層の浮腫,血管拡張とリンパ球を主体とする細胞浸潤そして一部表皮の海綿状態があつた.特徴的変化は真皮中下層,特に血管周囲性に好酸球の顕著な増多を認めたことである.誘発試験は4回施行,ブラックライトでは誘発できなかつたが,太陽光線では曇天時でも微量の内服で皮膚症状の誘発を確認した.化学構造上で興味があるのは,この薬剤にも塩酸ベンジタミンと同じく側鎖に第3級脂肪族アミンを持つている点である.