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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科28巻8号

1974年08月発行

雑誌目次

図譜・383

自然消退を示したLentigo maligna

著者: 戸田浄 ,   小堀辰治

ページ範囲:P.582 - P.583

症例 62歳,家婦
初診 昭和46年9月21日

原著

最近の皮膚カンジダ症—特にその感染源について

著者: 石井芳満

ページ範囲:P.585 - P.588

 従来稀といわれていた皮膚カンジダ症の増加が最近注目されてきた.その原因としてコルチコイド外用の乱用が考えられている.最近我々も入院中,ほぼ時を同じくして発症した皮膚カンジダ症を経験,院内感染を疑い,医師,看護婦の指掌,病棟浴室の浴槽水,各種軟膏,病室室内塵埃等についてカンジダの検出を試みたところ,軟膏類,室内塵埃等からは検出されなかつたが,医師,看護婦の手掌,浴槽よりそれぞれ40%と100%Candida albicansを検出した.これらカンジダは人体皮表由来であろうが,皮表に腐生するカンジダの増加が最近の免疫抑制剤,抗生物質,副腎皮質ホルモン剤の頻用による消化管floraの変化によるものと想像される.一方症例はいずれもコルチコイド外用にて治療中であり,皮膚カンジダ症の重要な感染源として浴槽水に加えて本症の発症進展にコルチコイド外用剤も主要な役割をなすものと考えられた.

汎発性銀皮症

著者: 小川喜美子 ,   森俊二 ,   宮本正光 ,   松多邦生

ページ範囲:P.589 - P.594

 20歳台より口中清涼剤を愛用し,清涼剤表面に銀粉がかけられる様になつた昭和43年頃から顔面に青灰色の色素沈着が出現した46歳女性の汎発性銀皮症の症例につき,臨床・組織について報告した.岡本氏,石川氏各組織化学的染色法で陰性であつたが,放射化分析により組織内沈着粒子の同定及び定量を行い,銀粒子120〜130ppm含有される事が判明した.
 あわせて明治以来本邦報告32例を加えて原因薬剤の推移,組織内銀粒子の同定・定量法特に放射化分析について述べ,かつ発症病理につき簡単に言及した.

疥癬

著者: 潮田妙子 ,   東禹彦 ,   朝田康夫 ,   吉川田鶴恵 ,   大原一枝

ページ範囲:P.597 - P.601

 外国旅行後に発症し,続いて家族内感染を起した疥癬の症例を2家族合わせて7例報告する.感染地は韓国及び台湾であつた.日本では,疥癬は近年まれな疾患となつていたが,過去6年間に報告された通常疥癬は自験例も含めて38例である.そのうちノルウェー疥癬から感染したものが19例,外国で感染したものが8例,続く家族内感染例が8例,感染経路不明のものが3例である.世界各地における疥癬の増加に伴い,海外旅行者が急増している日本においても疥癬が再流行する可能性があると思われるので注意を促したい.

悪性顆粒筋芽細胞腫

著者: 草場健二 ,   上田恵一 ,   松木正義 ,   外松茂太郎

ページ範囲:P.603 - P.609

 45歳,家婦.10年前に子宮筋腫の剔出術を受けた.そのから右大腿の伸側中央の皮下に小指頭大の結節があり,次第に腫大し,4年前に剔出術を受けた.術後7カ月ごろに同部に腫瘤を生じ,右鼠径部にも腫瘤を多発して来た.指圧療法により増大し,大腿部の腫瘤は7×7cm径となり,半球状に隆起し,出血が著しいために来院した.
 腫瘤剔出後縫合線に沿つて腫瘤を多発し,鼠径部,回盲部にも多数の腫瘤がみられた.組織学的に,初診時では典型的な良性の顆粒筋芽細胞腫であつたが,再発時では核の異型性,多核細胞,分裂像などがみられた.
 本腫瘍を組織化学的ならびに電顕的に検索すると共に,本邦報告33例につき統許的に観察した.特に自験例では臨床的にも転移がみられた.組織学的に良性型から悪性化した,いわゆる悪性顆粒筋芽細胞腫であつた.

クリオグロブリン血症を伴つたSLE

著者: 島田義昌 ,   山崎紘之 ,   平井玲子

ページ範囲:P.611 - P.614

 38歳,主婦.25歳頃から,時々,高熱と関節痛.27歳頃からは,関節痛,口内炎,レイノー症状が頻発,某大学病院で,慢性関節リウマチおよびレイノー氏病と診断された32歳時,LE細胞が検出され,SLEと診断.発熱や腹水貯溜などの急性症状が発生し,ステロイド療法で好転した.現在,ステロイドは中止.時々,関節痛,口内炎,レイノー症状をみるが,経過は良好.四季を通じて,指趾先端が潮紅している.RFおよびANFが陽性.クリオグロブリン(CG)は,4℃48時間で陰性,0℃12時間で陽性となつた.そこでこれを機会に,CGを発生し得る基礎疾患と,CGとの関係について考察を加えた.

カンジダ性痤瘡の5例

著者: 池上隆彦 ,   寺西晴満 ,   朝田康夫 ,   須貝哲郎

ページ範囲:P.615 - P.620

 昭和44年来,カンジダ性痤瘡例の報告が散見されるようになつてきたが,つねにその病名が問題にされている.本編では20〜40歳女子に生じた5例を報告し,尋常性痤瘡のほか,類似疾患として,Gram-negative folliculitis,Perioral dermatitis,Pityrosporum folliculitisをとりあげ,本疾患の病名として「カンジダ性痤瘡」を採用する理由と臨床像の特微として瀰慢性潮紅と膿疱周囲の膜様鱗屑をあげた.本症は痤瘡に対する抗生剤内服による菌交代症として生じ,Candidaは表在的な二次感染にとどまらず,面皰内に侵入をみ,毛包周囲炎を伴う.この際,一般細菌培養陰性で,検鏡上Pityrosporumを認めえない.また本症には抗カンジダ剤外用のみで治癒した例(5例中2例)が存在する.したがつて本症は尋常性痤瘡の菌相たるPropionibacterium acnes,StaphylococcusepidermidisあるいはPityrosporumがCandida (albicans)に置き換えられたものである.

一頁講座

壊疽性膿皮症とBehçet病

著者: 中村雄彦

ページ範囲:P.595 - P.595

 壊疽性膿皮症に再発性アフタ,再発性外陰部潰瘍,ブリクテン様結膜炎というベーチェット状態と思われる病状を併発した症例を報告する.

連載 皮膚科学に貢献した医学者たち・15

遺伝性表皮水疱症(その1)

著者: 高橋吉定

ページ範囲:P.626 - P.638

1.はじめに
 遺伝性皮膚疾患のうちでも,水疱形成を主徴とするものはその数が少ない.その代表的疾患は遺伝性表皮水疱症であり,わが国においても比較的しばしば見る機会に接する.
 本症が初めて記載されたのは,ドイツの皮膚科雑誌上であり,それも1882年という前世紀のことであつた.しかしその詳細な遺伝学的皮膚科学的病型の明らかになつたのは,今次大戦のあとのことであつた.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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