原著
カンジダ性痤瘡の5例
著者:
池上隆彦1
寺西晴満1
朝田康夫1
須貝哲郎2
所属機関:
1関西医科大学皮膚科学教室
2大阪回生病院皮膚科
ページ範囲:P.615 - P.620
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昭和44年来,カンジダ性痤瘡例の報告が散見されるようになつてきたが,つねにその病名が問題にされている.本編では20〜40歳女子に生じた5例を報告し,尋常性痤瘡のほか,類似疾患として,Gram-negative folliculitis,Perioral dermatitis,Pityrosporum folliculitisをとりあげ,本疾患の病名として「カンジダ性痤瘡」を採用する理由と臨床像の特微として瀰慢性潮紅と膿疱周囲の膜様鱗屑をあげた.本症は痤瘡に対する抗生剤内服による菌交代症として生じ,Candidaは表在的な二次感染にとどまらず,面皰内に侵入をみ,毛包周囲炎を伴う.この際,一般細菌培養陰性で,検鏡上Pityrosporumを認めえない.また本症には抗カンジダ剤外用のみで治癒した例(5例中2例)が存在する.したがつて本症は尋常性痤瘡の菌相たるPropionibacterium acnes,StaphylococcusepidermidisあるいはPityrosporumがCandida (albicans)に置き換えられたものである.