原著
新潟大学皮膚科における皮膚筋炎について
著者:
木村嶺子1
古沢範子1
佐藤良夫1
所属機関:
1新潟大学医学部皮膚科学教室
ページ範囲:P.841 - P.846
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新潟大学皮膚科における昭和25年から昭和49年までの25年間の皮膚筋炎の患者20例を総括した.40歳未満6例(1例は8歳の小児例),40歳以上14例で性差はないが40歳以上では男は女の2倍近くを占めている.悪性腫瘍合併例は8例で,40歳以上では半数の症例に悪性腫瘍が合併していた.腫瘍の種類は,胃癌4例,消化器系腫瘍1例,尿路系癌腫1例,悪性脳腫瘍1例,縦隔腫瘍1例である.また全身性エリテマトーデスの合併が1例ある.悪性腫瘍を合併している例(腫瘍群)の平均罹患期間は9カ月で,全例死亡,悪性腫瘍を合併していない例(非腫瘍群)は半数が死亡している.直接の死因は肺炎が多い.腫瘍群と非腫瘍群の間に,臨床症状,検査所見において若干の差が認められた.ツベルクリン反応は17例中11例陰性,DNCB皮膚反応は4例全例が陰性である.また筋組織内のウイルス様封入体の電顕的検索では,8例中5例に封入体を証明した.うち2例では筋核内にミクソウイルス様封入体を,3例では筋組織内の毛細血管内皮細胞内に細管状構造を証明することができた.