原著
外陰部ページェット病の3例
著者:
三原基之1
清水康之1
井上多栄子1
牧野孝三
所属機関:
1鳥取大学医学部皮膚科学教室
ページ範囲:P.935 - P.940
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要約 外陰部ページェット病(以下ページェットをPと略記)の3例を報告した.第1例は69歳,男.病変は陰嚢に初発し,6年たらずで陰茎にまで拡大した.組織所見では,乳房外P病のほか,P病変部の表皮細胞の1部に軽度ながら異型増殖像がみられた.治療は根治的切除術のみ.術後5年10カ月を経過するが再発の症状はみられない.第2例は67歳,男.病変は恥丘部に初発し,約5年の経過で陰茎から陰嚢にまで拡大した.組織所見では乳房外P病のほかそけい部リンパ節に腺癌の転移がみられた.治療は姑息的に病巣切除+所属リンパ節の1部摘出を行なつたが,術後2年余で原疾患のため死亡.第3例は65歳,女.病変は左大陰唇の腫脹感を伴なう瘙痒性発疹として初発し,約5年で左大陰唇と左小陰唇の全体に拡大した.組織所見は典型的な乳房外P病であつた.治療は根治的外陰切除術を行なつた.術後2年7カ月を経過するが,再発の症状はない.なお,3例とも下床に原発性癌腫は認められなかつた.