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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科29巻11号

1975年11月発行

文献概要

原著

T-Cell Lymphomaの1例—Sezary症候群との関係について

著者: 笹岡和夫1 上平憲2 野中美紀2 力丸正治3 山浦英明3 広渡徳治3 穐山富雄3 高橋勇3

所属機関: 1長崎市民病院皮膚科 2長崎大学医学部原爆研究所内科 3長崎大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.951 - P.957

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 48歳,男.全身各所に紅色丘疹と小結節を汎発し,表在性リンパ節腫と肝腫大をみとむ.末梢血に異型細胞の出現(54%)を伴つた白血球増多(39,000)があり,異型細胞の細胞学的,組織化学的特徴ならびに電顕所見はSezary細胞にほぼ一致した.T-cellは羊赤血球ロゼット形成試験で64%,抗ヒトT細胞抗血清によるcytotoxity testで97%,B-cellは1%と,異型細胞も含め末梢血リンパ球の大部分がT-cellであつた.また,骨髄には白血病の所見はなく,皮疹の組織像は異型細胞を混じた肉芽腫,リンパ節のそれは異型細胞のびまん性浸潤像で,嗜銀線維の増生はみられない.自験例は,Tリンパ球の腫瘍性増殖疾患のうち,いわゆるT-cell lymphomaに該当する症例と考えられた.なお,自験例とSezary症候群を種々の点から比較検討した結果,両疾患は主病変がリンパ節か皮膚かの違いだけで,本質的には同じ範疇に入る疾患と推測され,その点に関して若干の考察を行なつた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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