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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科29巻12号

1975年12月発行

文献概要

原著

酸化亜鉛吸入によつて生じた貨幣状湿疹の1例

著者: 東禹彦1 岩本孝子1

所属機関: 1関西医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.1049 - P.1052

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 35歳,男子の躯幹,四肢に散在性に認められた貨幣状湿疹が酸化亜鉛の吸入によつて生じたものであることが判明したので報告した.自験例は1)酸化亜鉛製造工程にたずさわるようになつて20日目より皮疹を生じたこと(アレルギー性反応を生じるに充分な感作期間の存在),2)胃潰瘍の手術のために入院していたときには外用薬の塗布で皮疹は簡単に消褪したこと,3)退院後,職場に復帰するとともに皮疹が再発し,医治によつても充分に軽快しなかつたこと,という現病歴から職業性皮膚疾患が疑われた.そして,スピンヘラー® を用いて酸化亜鉛の吸入試験を行ない,皮疹の再現をみた.その後,酸化亜鉛製造工程を無人化するとともに,患者自身が酸化亜鉛蒸気と接触しなくなつて,皮疹の再発は全くなくなつた.いわゆる内因性湿疹の原因の1つとして吸入性物質も重要であることを示す症例である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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