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原著
上大静脈症候群を伴つたBehtcet病
著者: 浜田稔夫1
所属機関: 1大阪市立大学医学部皮膚科学教室
ページ範囲:P.133 - P.138
文献購入ページに移動 21歳,男子にみられた上大静脈症候群を伴つたBehcet病について報告した.約3年前より口腔粘膜にアフタ,四肢に皮下硬結,顔面,背部等に毛嚢炎を繰返し,注射をうけた部位に膿疱形成をみる.左葡萄膜炎となり,治療をうけるも症状が増悪し,左眼球摘出術をうけた.2カ月前より顔面,頸部の瀰慢性腫脹,呼吸困難を来たし,胸腹壁の皮下静脈が怒張するようになつた.前腕皮下硬結の組織像では血管炎の所見を示す.両上肢よりの静脈撮影では上大静脈の造影は認められず,鎖骨下静脈より上大静脈に還流する部分で閉塞がみられ,また造影せる静脈壁の輪郭が不規則なことより,上大静脈閉塞は血栓性静脈炎によるものと考えられた.本症例では上大静脈閉塞のために上半身に静脈うつ滞症状および徴候を示したもので,上大静脈症候群に合致する.併せて本邦における上大静脈症候群を伴つたBehcet病報告例も紹介した.
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