原著
いわゆるDDS Syndrome
著者:
田辺義次1
西村和子1
松葉幹夫1
岡本昭二1
所属機関:
1千葉大学医学部皮膚科学教室
ページ範囲:P.203 - P.207
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Diaminodiphenyl sulfone(DDS)は適応症の拡大,使用頻度の増加につれて他剤と同様にその副作用もかなり多彩となつてきている.Alldayらは,DDSによる重篤な副作用の一つにDDS Syndromeという名称を用いている.すなわち投与5〜6週で突然発熱や違和感などの全身症状,皮膚症状,肝炎,リンパ節腫脹,単核症を発生するものをさしている.著者らは滴状類乾癬に,DDSを用い著効を得て投与を続行していたところ約4週で典型的な本症を呈した25歳男子症例を経験した.所見の主体は発熱などの全身症状,紅皮症様変化,リンパ節腫脹.細胆管炎型の中毒性肝炎および単核症であつた.このような例は欧米でも少なく本邦報告例も未だ見当らない.1日投与量200mgをこえると毒性が増すといわれるがそれ以下でも重症例の経験を余儀なくされることがある.本剤の有用性をそこなわないためにも副作用発現を早期にチェックするように努めるべきと考える.